クラウド会計ソフトは本当に簿記・経理の知識が不要なのか。freeeの事例。




クラウド会計ソフトは、「簿記の知識がなくても」「経理の自動化」をキャッチフレーズにしています。

本当に簿記の知識は不要なのでしょうか。

「経理の自動化」の落とし穴

クラウド会計ソフトは、ネットバンクやクレジットカードの明細、レシートなどから取引内容を推測し、それを仕訳に変換してくれます。

そして、ソフト側に「こう処理してください」とルールを教えた取引は、次からは同じように処理してくれます。

こうした経理(というか記帳)の自動化により、効率化を図れるのがクラウド会計ソフトの特徴です。

とても便利で、僕も自分の経理をクラウド会計ソフトで行ったり、お客様にオススメしたりもしています。

しかし、自動化に起因するミスも起こり得ます。

 

freeeでの事例

先週の月曜日、いつも通り1週間分の経理を行っていました。

チェック作業の段階で試算表を見てみると、「?」という部分が。

諸会費が51万円…?

税理士会費は月12,500円(千葉県柏支部の場合)なので、年間でも15万円。

こんな金額になるはずがありません。

総勘定元帳の諸会費を開いてみると、

3/28の15万円、4/6の18万円と15万円の振込が、全て諸会費として経費計上されてしまっています。

4/6の15万円は、1年分の会費をまとめて支払った分なので、会費として処理してOKです。


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ですが、3/28の15万円と4/6の18万円は、自分のプライベートの口座に生活費として振り込んだだけですから、「諸会費」として経費計上すべきものではありません。

 

freee側は、ネットバンクの「NET振込・振替」というデータを読み取って、「税理士会費だな、じゃあ諸会費だ」と判断したわけです。

原因は、僕のルール設定が甘かったこと。

登録ルールの設定で、

金額範囲を、月額の12,500~年一括払いの場合の150,000に設定しておけば、最初から正しく処理されたはずです。

かつ、条件に一致した時は、


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  • 取引を登録する
  • 取引を推測する

の2つが選択できるわけですが、こういった不確定要素が多いケースの場合は、「推測する」を選択すべきでした。

「NET振込・振替」から考えられる取引は、他にもあるわけですから。。

「取引を登録する」だと、確認する前に自動で仕訳として登録されますが、「取引を推測する」だと、仕訳を確認してから登録することになります。

 

結局、最低限の簿記の知識は必要なのか?

経理経験があり、簿記2級を取得していなければならない!というわけではないと考えています。

それを踏まえて、以下を参考にしていただければ。

チェックするのは人間

クラウド会計ソフトで、

  • 自動化されている
  • AIが予測してくれた

といっても、それが正しいわけではなく、AIだからこそのミス(決めつけ・例外に対応できない)などが起こり得ます。

一通りデータをチェックするのは、やはり人間の役目です。

そして、チェックをして、ミスに気づき、修正するためには、最低限の簿記・経理の知識が必要です。

 

ルール作りをするのも人間

クラウド会計ソフトは、導入すればすぐに正しい経理と効率化が図れるものではありません。

細かいルール設定を行い、「これはこう処理して」「だけど、こういう場合もある」というように、ソフト側に正しい経理を教え込む必要があります。

そのルール設定を行うのは、やはり簿記と経理の知識を持った人間です。

 

例外に対応するのも人間

クラウド会計ソフトは、パターン化は得意ですが、例外に弱いです。

例外に対応するのも人間の仕事です。

 

「知識がある」かどうかよりも「学ぶつもりがある」かどうか

現状で知識があるかどうかより、

  • 最低限は勉強してみたい
  • 自分で経理をやってみたい

という気持ちが大切だと思っています。

クラウド会計ソフトは、直感的な操作と自動化で、簿記の知識がない方でも経理・申告がしやすくなっているのは確かです。

とはいえ、知識がないとミスが起こってしまうのも事実。。

ただ、誤解を恐れずに言うなら、ミスしてもいいと思っている部分もあります。

今まで税理士に丸投げされていたことのハードルが下がり、「自分で経理と申告をしよう」と考える人が増えたのは素晴らしいことで、クラウド会計ソフトの存在意義の1つです。

自分でやってみることが大切なのであって、多少のミスは気にする必要はありません。

少しだけ机に向かって簿記や経理を勉強していただき、あとは実際に自分で経理をしてみて学んでいく。

調べてもわからなかったり、不安な部分がある場合に、専門家に相談すれば良いのです。

 

さらに、クラウド会計ソフトには、IT特有の便利さ・不便さがあります。

普段の処理にしてもチェックにしても、従来型の経理とは違い、クラウド会計ソフト特有のやり方をする部分も多いです。

すんなり入っていけるかは、普段からITを触っているかという要素が大きそうです。

 

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この記事を書いた人 入野 拓実
独立4年目の31歳。自称「とっつきやすい系税理士」
中小企業やフリーランスの税務顧問、相続税申告のほかに、
自力申告・独立支援・法人化などのコンサルティング業務を行っています。
各種セミナー、執筆実績多数。
1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
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