中小企業が経営分析をする場合の注意点をまとめてみました。
中小企業の経営分析の問題点と限界
経営分析は完全無欠ではなく、限界があります。
特に、自社ではなく他社を分析をする場合は、注意すべき点が多いものです。
経営分析は基本的に決算書をベースに行うものですから、
- 決算書に間違いがあった場合
- 決算書に載らない価値
などがあった場合、正確に評価をすることができません。
他にも中小企業は、「比較対象が少ない」「外部要因の影響をモロに受けやすい」といった不確定要素があります。
事業譲渡や取引先の検討についてクライアントからご相談を受けるときに、
(ざっくり言うと、とある会社のとある部門を買収するか悩んでいる、ということです)
お伝えしている注意点をざっくりとまとめてみます。
注意点①:会計データが正しいかどうかの把握
他社の経営分析を行う場合には、決算書と併せて、
会計データ(帳簿)を確認できたらベストです。
決算書は、会計データをもとに作られるものですから、
会計データが間違っていると、決算書も間違ったものになります。
中小企業の場合、会計データが間違っているということはあり得ることです。
例えば、バランスシートの流動・固定の区分が曖昧だったりすることがあります。
銀行借入金が「長期借入金」一本で仕訳されていたり、役員借入金が流動負債に記載されていたりするだけでも、
正確な比率分析はできなくなります。
もちろん、粉飾ということもあり得ます。
売上や在庫の水増し、費用の隠蔽などをされてしまうと、本来の収益性がわかりません。
これらが正しく処理されているかは、決算書と併せて会計データを眺めてみると、わかりやすいものです。
そして、会社の中身をより正確に把握するためにも、会計データを眺めてみることは有効です。
もし決算書に疑問が出てきた場合には、会計データも提供してもらうといいでしょう。
会計データは内部資料ですから、提供してもらえないことも考えられますが。
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注意点②:決算書に載らない価値や外部要因の把握
経営分析は、主に決算書をベースにして会社の状況を把握するものです。
逆に言うと、決算書に乗らない情報は、経営分析では把握できません。
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例えば、
会社のブランド価値、立地、従業員の質、技術力、競争力、ノウハウ、販売ルートといったことは、経営分析ではわからないものです。
業績の良し悪しが、会社の実力によるものなのか、経済環境などの外部要因によるものなのかもわかりません。
経営分析をする際には、「決算書に載らない価値もある」ということを意識しておくべきです。
まずは経営分析で数字を読み、その数字の裏に隠れている意味や価値を考えることが、経営分析の真価です。
注意点③:比較が難しい
経営分析の数字は、同業他社と比較をしなければ意味がありません。
例えば、売上総利益率(粗利率)の中小企業の平均値は、
卸売業で約15%、サービス業で約50%と、業種によって大きく差があります。
同業他社と比較することで、初めて会社の強みや課題点が浮き彫りになるのです。
しかし決算書を公表している中小企業は少ないため、同業他社のデータ収集は困難です。
上場企業と比較しても意味がありませんし。
中小企業が同業他社と比較するためには、
- 「中小企業実態基本調査」を活用する
- 経営自己診断システムを使う
といった方法があります。
以下の記事で解説しています。
[編集後記]
昨日は、クライアントの月次を中心に。
雨続きでさすがにまいっています。
夏が好きで、暑いのはいくらでも耐えられるので、早く梅雨明けしてほしいです。
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1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
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