お客様から「非課税仕入」と「不課税仕入」の違いについてよく聞かれるので、解説してみます。
課税・非課税・不課税の違い
消費税の税額を計算するためには、会社が行った全ての取引を、
- 課税
- 非課税
- 不課税
の3つの区分に分ける必要があります。
考え方としては、まず取引を「課税対象になる取引」「課税対象にならない取引」に区分し、
「課税対象になる取引」であれば、さらに「非課税」「課税」に区分します。
課税・非課税・不課税の区分をする際には、実はその前に「課税対象になる取引」「ならない取引」という判定が必要なのです。
課税対象になる取引・ならない取引
消費税の課税対象になる取引とは、次の要件を満たす取引です。
- 日本国内で
- 事業者が事業として
- 対価(お金)を得て行う
- モノの譲渡や貸付け、サービスの提供
この4つの要件を満たさないものは、「課税対象にならない取引」ですので、
消費税の区分は不課税(対象外)となります。
代表的な不課税取引は、次のようなものです。
- 給料の支払い…事業ではなく、雇用契約としての対価
- 寄付金、祝い金、香典、助成金、補助金…見返り(対価)として支払われるものではない
- 無償の取引、贈与…対価がない
- 保険金…譲渡、貸付、サービスの提供の対価ではない
これらははそもそも消費ではない、とも言えます。
仕事の対価としてお金を受け取る(支払う)取引のほとんどは、「課税対象になる取引」ではあります。
このステップで「課税対象になる取引」に区分された場合には、
次に「非課税」なのか「課税」なのか、という区分に進みます。
非課税
非課税取引とは、「課税対象になる取引」ではありますが、
政策などの観点から、非課税=課税しないこととされているものです。
例えば、次のようなものです。
- 土地の譲渡・貸付
- 株の譲渡
- 預貯金の利子
- 社会保険の対象になる医療
- 介護保険、社会福祉事業のサービス
- 学校教育
- 家賃
- 火葬・埋葬
非課税取引に曖昧さというものはなく、「ここに書いてあるものは非課税です」としっかりと明示されているので、わかりやすいです。
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課税
「課税対象になる取引」のうち、「非課税取引」に該当しない取引について、晴れて消費税が課税されることとなります。
「課税」と「それ以外」と分けがちですが、本来の考え方としては、
- 課税対象取引と課税対象以外の取引に分け
- 課税対象取引のうち、非課税取引を抽出し
- 残ったものが課税
という順序になります。
税理士的な原則論で「課税と非課税と不課税の違い」を説明すると、こういうことになります。
ただ僕自身、常にこういうことを考えて区分しているわけではありません。
ある程度パターン化して条件反射的に区分しています。
「区分の判定で悩んでしまう」というお客様は多いのですが、
仕訳入力をする上では、悩んだ都度、ハウツー本やQ&A本、判定表などを見る、ググるなどで対応すればじゅうぶんです。
それを繰り返すうちに、自然に判定できるようになります。
Q&Aなどで対処できない事例が出てきたときに、このような原則論に立ち返って考えてみて頂ければ。
仕入の場合、非課税・不課税は気にしなくていい
さて、ざっくりと課税・非課税・不課税の違いについて説明しましたが、
「非課税仕入」と「不課税仕入」については、ぶっちゃけ気にしなくて大丈夫だったりします。
納める消費税額の計算に影響がないからです。
仕入(経費)の場合、「課税」か「それ以外」か、という分け方でも問題ありません。
「非課税仕入」を「不課税仕入」と入力しても、納める税金は変わりません。
原則論でいうと、「非課税」と「不課税」は全く性質が違うものですから、分ける必要はあります。
ですが、税額を計算する上では、区別しなくても影響はないのです。
(会計事務所が処理する場合は、当然きっちり区分していますが)
売上については、非課税・不課税の区分は非常に大切
ただし、売上(収入)取引については、非課税・不課税の区分を厳密に処理する必要があります。
税額に影響する場合があるからです。
消費税の納税額の計算には、課税売上割合というものを使います。
以下の算式で計算するものです。
分母に「非課税売上」がはいっていることからわかるように、
「非課税売上」と「不課税売上」の区分が間違っていると、課税売上割合に影響します。
課税売上割合が変わるということは、消費税額が変わる、場合によっては消費税の計算方法自体が変わる場合があります。
非課税と不課税の区分は、仕入についてはあまり気にする必要はありませんが、売上については絶対に合わせていきましょう。
[編集後記]
昨日は、相続税の申告を中心に。
無事終わりました。
iPhoneのカメラロールは娘だらけなのですが、最近はまともな表情の写真がありません。
カメラを向けると必ず変顔してくるので…。
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各種セミナー、執筆実績多数。
1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
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