先日クライアントから「未払金と未払費用ってどう違うんですか?」という質問を受けたので、解説してみます。
未払金と未払費用の違いと定義
未払金と未払費用の違いは、
- 契約を交わしているか、いないか
- 継続的か、突発的か
という部分です。
未払費用とは
未払費用の定義として、企業会計原則というルールでは、
「一定の契約に従い、継続してサービスを受ける場合」の未払い、とされています。
典型的なものは、家賃、給料、利息、税理士の顧問料などです。
これらは「毎月継続してサービスを受ける契約」によるものです。
そして、「サービスを受けたけどまだ支払っていない」部分が、未払費用となるわけです。
例:7月分の税理士顧問料を8月に払う場合は、7月時点で
支払手数料 / 未払費用
と処理します。
7月にサービスは受けた(7月の顧問)けど、まだ払っていない=未払費用、ということです。
ポイントは「契約しているか」「継続的か」の2つです。
イメージ的には、AppleMusicなどで最近はやりのサブスクリプションがわかりやすいかもしれません。
未払金とは
一方未払金は、「継続しない」取引のときに使います。
典型的なものは、固定資産や株を後払いで購入した場合。
消耗品を後払いで購入した場合もそうです。
これらは「継続的にサービスを受ける契約」によるものではありません。
そこで「未払費用」とは区別して「未払金」として処理することになります。
未払金と未払費用の違いをまとめると
「継続してサービスを受ける契約」によるものが未払費用であり、
それ以外は未払金です。
まとめると、次のようになります。
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内容 | 勘定科目 |
モノの購入 | 未払金 |
サービスの購入(契約・継続) | 未払費用 |
サービスの購入(単発) | 未払金 |
前受金と前受収益、前払金と前払費用、未収金と未収収益の違いは?
同様に「前払金と前払費用の違いは?」「前受金と前受収益の違いは?」という質問を受けることもあります。
これも、未払費用・未払金と同じ考え方です。
「継続してサービスを受ける契約」なら前払費用ですし、そうでなければ前払金です。
「継続してサービスを提供する契約」なら前受収益ですし、そうでなければ前受金です。
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たとえば、不動産会社が受け取る前家賃は「継続して家を貸す契約」に基づくものなので前受収益ですし、
商品代金の手付金や工事の着手金は、継続ではないので前受金です。
継続的な契約は3文字、それ以外は4文字、って覚えるといいかと。
今、書いてて思いついただけですが。
実務上の取り扱い・注意点
使い分けについて、自分で経理をされる方は次のようなことを意識しておきましょう。
間違えたらどうなるか
ぶっちゃけ、どうもなりません。
「未払金」だろうが「未払費用」だろうが、経費になっている金額は変わらないし、
「前受金」だろうが「前受収益」だろうが、売上になっている金額は変わらないからです。
どちらを使っても利益や税金の計算には影響ありません。
まぁただ、一応定義付けられているものではあるので、余裕のある方はキッチリ処理していただければ。
こういう細かい部分が行き届いたバランスシートを見ると、税理士や銀行員の見る目が変わってきます。
(一応、プロは違いを意識して見ている部分ではありますので)
重要性の原則
会計には「重要性の原則」という考え方があります。
「利益計算に影響が少ないモノはざっくり処理していいよ」「その代わり重要なものは厳密に処理しなさい」というルールです。
未払費用・未収収益・前払費用・前受収益についても、
「重要性の低いものは、払った時(受け取った時)に経費(収益)計上していいよ」と、例外的に定められています。
厳密に発生主義で処理するのがベターではあるのですが、
金額が少ないモノに関しては、払った時に経費計上する処理がラクではあります。
短期前払費用の特例
1年以内の前払いであれば、「前払費用」として処理せずに、払った年に一括で経費にしていい、という特例もあります。
「短期前払費用の特例」というものです。
詳しくは以下の記事で解説しています。
[編集後記]
昨日は、単発の決算を中心に。
例のうんちシート、完走しました。
今朝トイレに入ると、新しいのが貼ってありました。娘が「新しいの作って~」と妻におねだりしたようです。
「思ったように利益が出ない」「手元にお金が残らない」「税金が高すぎる」
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各種セミナー、執筆実績多数。
1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
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