借入金のある会社が月次決算でチェックすべき4つの指標




融資を受けている会社、受けたいと思っている会社は、定期的に数字をチェックすべきです。

借入金のある会社は、どんぶり勘定じゃダメ

中小企業に多い、どんぶり勘定や放漫経営。
既にお金を借りている会社や、借りたいと思っている会社にとっては、致命傷になり得るものです。

お金を借りている会社は、借りたお金を元手に、
「返済額以上の利益を出す」必要があります。

そうしないと、返済が苦しくなるからです。

借りたいと思っている会社は、
「返済能力」や「経営の安全性」を銀行にアピールする必要があります。

返済能力のない危険な会社に、銀行はお金を貸してくれないからです。

 

お金を借りている会社・借りたい会社は、

  • 無理なく返せるだけの利益が出ているか
  • 会社の返済能力・経営安全性に問題はないか

といったことを常にチェックしていく必要があります。
具体的には、次の4つの指標を定期的に確認していきましょう。

最低限確認すべき4つの指標

次の4つの指標は、最低限確認しておきましょう。

簡易キャッシュフロー(償却前利益)

簡易キャッシュフローは、「会社のおおまかな返済能力」を表すものです。
償却前利益とも呼ばれ、以下の算式で計算します。

簡易キャッシュフロー = 当期純利益 + 減価償却費

利益と減価償却費の分だけお金が増えている、と考えているわけです。
(減価償却費はお金が出ていかない費用なので、利益に足し戻します)

「簡易キャッシュフロー>借入金の返済元本」であれば、無理なく返済することができ、
「簡易キャッシュフロー<借入金の返済元本」であれば、資金繰りは厳しくなっていきます。

言い換えると、「簡易キャッシュフローまでなら安全に借りられる」と考えることもできます。

 

この簡易キャッシュフローがプラスであることは絶対条件です。
次に、年間の返済元本額を超えているかどうかを確認していきましょう。


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超えていなければ、資金繰りが厳しくなることが考えられるので、どこかを改善する必要があります。

簡易キャッシュフローについては、以下の記事でも解説しています。

借金は利益から返す。「収益弁済」を意識して無理のない資金繰りをしよう

債務償還年数

債務償還年数とは、「現状の利益に対して、借りすぎではないか」を確認する指標です。
以下の算式で計算します。

債務償還年数 = 借入金の元本残高 ÷ 簡易キャッシュフロー

「さいむしょうかんねんすう」というと小難しく聞こえますが、算式を見ればピンとくるのではないでしょうか。
この算式は、「借入金の残高は、簡易キャッシュフロー何年分か」を示しています。


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簡易キャッシュフローが2,000万円、借入金の残高が1億円なら、債務償還年数は5年です。

 

債務償還年数は、10年以下がひとつの目安になるでしょう。
10年超だと、借りすぎということになります。

借入金は利益から返していくものですので、利益とのバランスや借りすぎを考えるためにもチェックしていくべき指標です。

借入金月商比率

もう一つ「借りすぎかどうか」をチェックする指標として、借入金月商比率があります。
算式は、

借入金月商比率 = 借入金の残高 ÷ 平均月商

「借入金の残高が月売上の何ヵ月分か」を示していることは、ピンと来ていただけるでしょう。

一般的には、製造業で6ヵ月分、その他の業種で3~4ヵ月分くらいに抑えておくべきと言われますが、
中小企業の現実として、なかなか難しいでしょう。

 

これは僕の考え方ですが、
月商に対して借りすぎることよりも、手元にお金がないほうが危険ですし、
月商に対して借りすぎていても、簡易キャッシュフローとのバランスが取れていれば問題ありません。

なので、重要度としては、「債務償還年数」→「借入金月商比率」です。
まずは債務償還年数5年以下を目指し、次に借入金月商比率3ヵ月以下を目指す、という順序です。

自己資本比率

自己資本比率は、「会社の総資本のうち、返済義務がない自己資本の割合」を示す指標です。
算式は、

自己資本比率(%) = B/S純資産 ÷ B/S総資産 × 100

となります。

自己資本比率は、安全性分析の最重要指標です。
自己資本比率が高いほど経営が安定しており、低いほど危険です。

 

自己資本比率も、プラスであることは絶対条件です。
マイナスだと、債務超過ということですので。

中小企業だと15~20%くらいの会社が多いというのが実感ですが、
クライアントには、30%~、40%~と、徐々に増やしていくようにアドバイスしています。

中小企業は大企業と違って資本力と資金調達力が弱いため、
事業を長く続けていくためには、自己資本の充実が絶対条件と考えているからです。

指標の推移を毎月確認する

まとめると、

  • 簡易キャッシュフローは最低でもプラス、できれば返済額超
  • 債務償還年数は最低でも10年以下、できれば5年以下
  • 借入金月商比率は債務償還年数と併せてチェック
  • 自己資本比率は最低でもプラス、できれば30%超。少しずつ増やしていく

といったことを目安にしていただければ。

これらの指標は、毎月算出して推移を確認するようにしましょう。
年に1回のチェックだと、スパンが長すぎます。

 

返済能力と経営安全性を高めることは、銀行からの評価を高めることでもあります。
借入金がある会社・借りたい会社は、ぜひこのあたりを意識してみてください。


[編集後記]

昨日は、クライアントの月次データのチェック後、マーケティングについてあれこれ考えました。

晩御飯は、家族3人で回る寿司に。
娘は寿司以外のものばかり食べてましたが。

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この記事を書いた人 入野 拓実
独立4年目の31歳。自称「とっつきやすい系税理士」
中小企業やフリーランスの税務顧問、相続税申告のほかに、
自力申告・独立支援・法人化などのコンサルティング業務を行っています。
各種セミナー、執筆実績多数。
1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
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