損益計算書(売上・経費・利益)だけでなく、バランスシートも比較・計画・予想をすることが大切です。
見落としがちな、バランスシートの比較
経営分析において欠かせない、「比較」。
前期比較・前年同月比較・四半期比較など、自社の過去との比較(縦の比較)や、
同業他社との比較・優良企業との比較など、他社との比較(横の比較)など、様々な角度から比較をしていきます。
わかりやすいのは、
- 売上の比較
- 利益の比較
- 経費の比較
といった比較。
「売上が上がったか、下がったか」「利益率は他社と比べてどうなのか」などは経営上気になるところでしょうし、比較対象がわかりやすいものです。
ただ、これらは全て、損益計算書ベースでの比較。
バランスシートも比較できるようになると、経営判断が一歩先に進みます。チャレンジしてみましょう。
バランスシートを図解化して前期と比較してみる
バランスシートでの比較をしている方が少ないのは、バランスシートにとっつきにくい印象を持っている方が多いからかな、と思っています。
確かに、損益計算書と比べて難しいものです。
ですが、バランスシートも図解にすると、全体像をイメージでとらえやすくなります。
実際に見ていきましょう。
当期に2千万円の利益が出たときのバランスシートは、前期と比較するとこのように変わります。
(クリックで拡大します)
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変化しているのは、流動資産と流動負債、そして純資産。
利益というのは、まず純資産に集計されるので、純資産が2千万円増えています。
そしてその内訳として、流動資産と流動負債が増減しているわけですが、
今回の場合、
- 流動資産が1千万円増えて
- 流動負債が1千万円減った
ということがわかります。
流動資産…現金預金、売掛金、在庫など、基本的に1年以内に現金として回収できるもの
固定資産…建物や車、ソフトウェアなど、基本的に現金化しにくいもの
流動負債…1年以内にお金を支払うもの
固定負債…1年を超えたらお金を支払うもの
純資産…元手。出資した資本金や今まで儲けた利益の累積(内部留保)など。
図解にすると、視覚的に変化を捉えることができます(解説のためにかなり極端にしていますが)。
基本的には、左上と右下が大きく、逆は小さく、が健全な状態です。
現金化しやすい流動資産が多ければ多いほど資金繰りはラクになりますし、1年以内に支払わなければいけない流動負債は少なければ少ないほど、やはりラクになります。
今回のケースだと、流動資産が増え、流動負債が減っているため、利益を理想的な形で使えています。
2千万円利益が出たからと言って、現金預金がそのまま2千万円増えることはなかなかありません。
現金預金・売掛金・在庫などの資産が1千万円増え、1年以内に返済する借入金などの負債が1千万円減る。
現金預金そのものはあまり増えていなかったとしても、トータルで2千万円分、会社の財政状態は向上しているわけです。
このように利益は、現金預金以外に形を変えてバランスシートに表れます。
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「2千万円も利益が出た!」と喜ぶだけではなく、「2千万円はどこにいったのか」に注目するようにしましょう。
来期予想・計画立案もバランスシートから行う
バランスシートでの比較は、来期の予想や計画立案にも使えます。
さきほどの状態から、「来期も2千万円の利益を出す」と目標を立てたとします。
実際に2千万円の利益を出したとすると、バランスシートはこんな形になります。
資産全体が大きく増えたのはもちろん、さらに流動資産の割合が大きく、かつ、流動負債の割合が小さくなっています。
左上と右下が大きく、逆は小さく、という基本を守って成長し続けることで、安全な経営状態になっているわけです。
漠然と「~万円の利益を出す!」「前年比~%アップ!」という目標を掲げるだけでなく、
「2千万円の利益を出すと、財政状態はどうなるのか?」を意識することが大切です。
逆に、現状の財政状態の問題点から逆算して利益目標を立てる、という考え方もあるでしょう。
バランスシートの図解化は、この本で勉強しました。
利益のバランスシートの関係については、以下の記事でも解説しています。
参考記事:利益は貸借対照表(バランスシート)で読め!稼いだお金を「金額」ではなく「使い方」で捉える考え方
[編集後記]
昨日は、1月決算が終わったのでひたすら報告資料を作成。
娘の昼寝がなくなりつつあります。その分、夜少し早く寝るようになりはしましたが…。
どちらがいいのやら。。
「思ったように利益が出ない」「手元にお金が残らない」「税金が高すぎる」
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各種セミナー、執筆実績多数。
1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
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