バランスシートの読み方のはじめの一歩を解説します。
損益計算書だけじゃダメ!バランスシートも合わせて確認しよう
読み方が難しいと言われるバランスシート。
「損益計算書で利益はチェックするけど貸借対照表は読んでない…」という方も多いのではないでしょうか。
バランスシートを読んで経営者にアドバイスをするのは、専門家でもなかなか難しいのは事実。経営者の方が避けたくなるのもわかります。
ですが、僕が決算書や月次報告などで数字の説明をするときは、むしろバランスシートを中心に説明します。
時間の割合で言うと、損益計算書が2、バランスシートが8、くらいのイメージです。
損益計算書では、1年間の経営成績がわかります。例えば、「1千万円利益が出たんだな」「200万円も赤字だったのか…」など。
それに対し貸借対照表では、儲けた結果として財政状態がどうなっているかがわかります。例えば、
- お金はいくらあるか
- 返さなければいけない借金はいくらあるか
というような、会社の全体像を掴むことができます。
ここで考えてみてほしいのが、「何のために儲けるの?」ってことです。
たぶん、お金や資産を増やすこと、つまり「より良い財政状態を目指すために儲ける」のではないでしょうか。
だからこそ、「いくら儲かったか」を損益計算書で確認するのと同時に、「その結果として財政状態はどうなっているか」を確認する必要があります。
年収1千万円でも、貯金が一切できていなかったり、借金の返済が厳しい方もいるでしょうし、年収300万円でも、コツコツ貯金をして無借金の方もいる。
それと同じように、利益が1千万出ていても厳しい場合や、赤字が200万円でもへっちゃらな場合もあるわけです。
儲けることは、より良い財政状態を目指すための手段。
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そう考えれば、「儲け=損益計算書」以上に、「財政状態=貸借対照表」の重要性がわかっていただけるのではないでしょうか。
バランスシートの全体像をイメージで捉える
バランスシートも、図解にすれば少しだけわかりやすくなります。
まずは図解で「ざっくり全体像を理解する」ことから始めていきましょう。
全体像をイメージで捉える
次のようなバランスシートがあったとします。
真ん中から上下左右に、
- 流動資産
- 固定資産
- 流動負債
- 固定負債
- 純資産
の5項目に分かれています。
左側の「資産」とは?
左側の2つ、[資産]は、[お金]と[将来お金になるもの]です。
現金預金そのものはもちろん、回収すればお金になる売掛金、販売すればお金になる在庫、売却すればお金になる車や建物などです。
流動、固定で分かれているのは、お金になりやすさ(出ていきやすさ)で分かれています。
流動資産は、現金預金そのものや、売掛金・有価証券・在庫など、基本的に1年以内に現金化できるもの。
固定資産は、車や建物、ソフトウェアなど、基本的に現金化しないもの、しにくいものです。
1年以内に現金化できるものが6千5百万円、現金化しにくいものが3千5百万円。
トータルで1億円の資産があることがわかります。
右側の「負債」とは?
右側の2つ、[負債]は、逆に[将来お金を支払うもの]です。
仕入代金でまだ支払っていない買掛金、借入金が代表的なものです。
流動負債は、1年以内に現金を支払うもの、例えば短期借入金や一時的な預かり金。
固定負債は、1年を超えてから支払うもの、例えば長期借入金などです。
1年以内に支払わなければいけないものが2千万円、1年経ってから長期にわたって支払わなければいけないものが5千万円。
トータルで7千万円の支払い義務があることがわかります。
右下の「純資産」とは?
さらに、[純資産]。これは一言で言うと、[元手]です。
出資をした資本金や、今まで儲けた利益の累積である利益剰余金が代表的なものです。
利益剰余金は、損益計算書で計算された「利益」の累計です。
損益計算書では「いくら儲けたか」がわかり、バランスシートでは「儲けたお金はいくら残っているか・どう使ったか」などがわかります。
損益計算書とバランスシートは繋がっているわけです。だからこそ、どちらか片方ではなく両方を読む必要があります。
返済する必要がない者なので、「自己資本」「資本」と言ったりもします。
資産を全て売って現金化し、その現金で負債を全て返した時の手残りでもあります。
バランスシートをざっくりチェック!4つのポイント
それを踏まえてもう一度図解を見てみましょう。
基本:流動資産と純資産を増やす・固定資産は最小限・流動負債はできるだけ減らす
イメージとしては、左上と右下(流動資産と純資産)の面積が大きく、逆は小さく、というのが基本です。
現金化しやすい流動資産の割合が多いほど資金繰りはラクですし、元手=純資産も多いほど経営基盤は安定します。
逆に、左下(固定資産)や右上(流動負債)が多すぎると資金繰りが悪くなる傾向にあります。
- 手持ち1千万円で車なし
- 1千万円の車持ってるけど手持ち0円
のどっちが安全か、というイメージです。
- 資産は上を大きく
- 負債は下を大きく
- 無駄な固定資産はできる限り持たない
- できるだけ支払を長期に伸ばす
といったことができているのが、健全なバランスシートということになります。
まずはこんな感じでイメージでとらえてみましょう。
短期的な支払能力はどうか?(流動比率)
今回の図解では、お金&1年以内にお金になるものである[流動資産]が6千5百万円あり、1年以内にお金を支払う[流動負債]が2千万円あります。
手持ち6千5百万円に対して支払いが2千万円ですから、とりあえず1年以内に資金繰りがショートすることはないと考えられます。
(この理屈を指標化したものを「流動比率」と言います。以下の記事を参考にしていただければ)
経営基盤の安定性はどうか?(自己資本比率)
会社の総資産は1億円あり、総負債は7千万円。
全ての資産を売り、全ての負債を返済したとすると、手元に残るのは3千万円。これが会社の純粋な資産=純資産ということもわかります。
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この純資産の割合が多ければ多いほど、経営が安全で・安定していると考えることができます。
要は、資産から負債を差し引いた手残りが純資産なので、
- 総資産が1億円 ー 総負債が7千万円=純資産3千万円より、
- 総資産が1億円 ー 総負債が1千万円=純資産9千万円のほうが安全
というわけです。
この「全体の資産のうち純資産が何%か」という割合を、「自己資本比率」と言います。
中小企業の場合、30%を目指すといいでしょうね。(業種などによって違いますが)
計算式は、
この事例だとちょうど、3千万円 ÷ 1億円 = 30%、となります。
効率的に儲けられているかどうか?(総資産利益率=ROA)
効率的に儲けられているかどうかを、バランスシートと損益計算書の両方を見ると確認できます。
総資産利益率=ROA、と呼ばれる指標です。この数値が高いほど、効率的に儲けられているということ。
例えば、1億円の資産で100万円儲けるのと、1,000万円の資産で100万円儲けるのとでは、後者のほうが儲けの効率が良いわけです。
後者のほうが「小回りが利く」「リスクが少ない」とも言えます。
この指標でチェックすべきなのは、「無駄な資産を持っていないか」ということ。
流動資産が多く固定資産がほとんどないケースでは、ROAが低くてもそれほど気にする必要はないでしょうが、
固定資産をそれなりに持っている場合は、
- その固定資産が利益に貢献しているかどうか?
- 無駄な投資じゃないか?
などを考える必要があります(借入・ローン・リースなどで買った場合は特に…)。
計算式は、
5%を目指すと良いと言われます(業種によって略)。
Excelでのバランスシート図解化の方法は、この本を参考にしています。
バランスシートについては、以下のような記事も書いています。
[編集後記]
昨日は、引き続き2月決算を中心に。
自転車に乗る前の練習…ということで、娘にストライダーを購入。
自宅でも公園でも乗ってはしゃぎまくってます。
「思ったように利益が出ない」「手元にお金が残らない」「税金が高すぎる」
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各種セミナー、執筆実績多数。
1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
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