事業主貸、事業主借の使い方・仕訳例・会計ソフトの処理方法を解説




「事業主借 使い方」というキーワードでこのブログに来た方がいらっしゃったので、記事にしてみます。

事業主貸、事業主借の使い方

個人事業主の場合、プライベートと事業用のお金がどうしても混ざってしまいます。
完全に口座やサイフを分けられればいいのでしょうが、なかなかそうもいきません。

そのような場合に、事業主勘定が使われます。

(事業主借・事業主貸とは何か?というテーマについては、ググったら他に素晴らしい記事がたくさんありましたので、そちらを参考にしていただければ)

事業主貸の使い方

事業用のお金を、事業主個人のために使う場合には、[事業主貸]として処理します。

代表的なのは、

  • 事業用の口座から、生活費を引き出した
  • 事業用のお金で、生活費を支払った

といったケースです。

事業主借の使い方

逆に、プライベートのお金を事業に使った場合には、[事業主借]として処理します。

代表的なのは、次のケースです。

  • プライベートのサイフ(クレジットカード含む)で、経費を支払った
  • プライベートの口座から、事業用口座に20万円振り込んだ

便利な使い方

事業主借と事業主貸、実はとても便利です。

よく、「プライベートと仕事用のお金を分けて管理しましょう」と言います。
ですが、プライベートと事業のお金を分けて考えるから、区別や残高の管理などが面倒臭くなるわけです。

法人にした場合、法人と個人という2人の人格があります。だから分けて管理しなければなりませんし、分けるのも簡単です。
しかし個人事業主の場合、プライベートも事業も同じ一人の人間がやっているわけですから、分けるのは大変。
どうしたって、プライベートのお金で経費を払ったりすることが出てきます。

だったらプライベートと事業は分けなきゃいい。僕も完全には分けていません。
全てまとめて管理して、仕事以外のものは「事業主借」「事業主貸」で処理する、という考え方もアリです。


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(美容室や小売など、現金売上が発生する仕事の場合、レジの現金だけは分けて管理すべきですが)

事業主借・事業主貸とクラウド会計ソフト(freee・マネーフォワード)でラクに経理をするには

僕が実際にやっている「ラクな経理の仕方」をお伝えします。

以下の4つが前提です。

  • クレジットカード → 事業・プライベートで分ける
  • 銀行口座 → 事業プライベートで分ける
  • 電子マネー → 分けない
  • 現金 → 分けない

クレジットカードとネットバンク

まず、事業用のクレジットカードと銀行口座をクラウド会計ソフトに同期。
同期されるデータは全て事業に関係するものなので、日々の処理がシンプルになります。

カード会社やらの関係で、事業用のカードで生活費の決済をするケースもたまーにありますが、
そういった場合は「事業主貸」で処理すればいいだけです。

freeeの場合は、[自動で経理]の画面から、生活費のデータの[詳細]を開き、[無視する]を選択。

次に、[プライベートな出金として登録する]→[登録する]を選べば、事業主借で処理したことになります。

電子マネー

次に、電子マネー(Suicaなど)は分けていません。
最初は分けることも考えたのですが、僕の電子マネーの使い道は、仕事が8割プライベートが2割。
たった2割のために細かく分けてしまうと、逆に面倒と考えました。

Suicaをクラウド会計ソフトに同期し、

  • 仕事の交通費 → 普通に旅費交通費として経費計上
  • プライベートの交通費やコンビニ・自販機の支払い → 事業主貸として処理

という風に処理しています。

現金

最後に、現金。これも分けていません。
「現金払いの経費は全て事業主借で処理」するだけです。
そうすれば、サイフを2つ持ったり、残高を管理したりする必要はありません。

基本的に経費は事業用のクレジットカードで払うようにしていますが、
たまーに現金支払いしかできないモノ(印紙とかもそうですね)がありますので…。

(できる限り現金を使わず、クレジットカードやネットバンク、電子マネーを使ったほうが経理はラクになります)

freeeの場合、口座をプライベート資金に設定すれば、事業主借で処理したことになります。
現金払いの経費を入力するときは、[連続取引登録]から[プライベート資金]で行うのがおすすめです。


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事業主借の事例別の仕訳例

プライベートの銀行口座から、事業用の銀行口座に、事業資金30万円を振り込んだ

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
普通預金300,000事業主借300,000

プライベートの財布で、タクシー代2,000円を支払った

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
旅費交通費2,000事業主借2,000

プライベートのクレジットカードで、仕事用の消耗品を5万円分買った

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
消耗品費50,000事業主借50,000

事業用の銀行口座に、預金利息100円が入金された

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
普通預金100事業主借100

プライベートの口座から支払っている家賃10万円のうち、3万円が経費

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
地代家賃30,000事業主借30,000

事業用の口座に、税金の還付金10万円が入金された

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
普通預金100,000事業主借100,000

事業主貸の事例別の仕訳例

事業用口座から、プライベート口座に、生活費30万円を振り込んだ

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
事業主貸300,000普通預金300,000

事業用口座から、生活費10万円をATMで引き出した

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
事業主貸100,000普通預金100,000

レジの売上現金から、生活費として10万円を持ち帰った

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
事業主貸100,000現金100,000

事業用口座から、国民健康保険と国民年金の合計5万円が引き落とされた

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
事業主貸50,000普通預金50,000

事業用・プライベート兼用口座から、経費にしない自宅の家賃10万円を支払った

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
事業主貸100,000普通預金100,000

事業用・プライベート兼用口座から払った家賃10万円のうち、3万円だけ経費

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
事業主貸70,000普通預金100,000
地代家賃30,000

事業用口座から払った携帯代を「通信費」として月2万円、年間24万円計上していたが、そのうち10万円だけ経費にしたい

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
事業主貸140,000通信費140,000

※参考:2万円支払った時の仕訳

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
通信費20,000普通預金20,000

事業用のクレジットカードで、自分の子供のおもちゃを1万円分買った

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
事業主貸10,000未払金など10,000

売上54万円(税込)から、源泉所得税51,050円が引かれて入金された

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
普通預金488,950売掛金(or売上)540,000
事業主貸51,050

事業主貸・事業主借の疑問点

現金との違い

現金だと、残高を管理して、出納帳(入出金の記録)を付ける必要があります。
事業主勘定であれば、不要です。

貸付金・借入金との違い、返済について

「貸」「借」っていう字がついていますが、貸付・借入とは違います。
「プライベートの自分」と「事業主の自分」は結局一人の「自分」。

自分のお金を事業用に使ったか、プライベートに使ったか、という話であって、貸し借りではありません。
経理の都合上、こういった処理をする必要があるだけです。返済する必要はありません。

残高マイナスはマズい?

問題ありません。

事業主借と事業主貸の使い分け

これもあまり気にしなくていいかなと…。

ごちゃまぜになってたり、全部事業主借で統一していたり、ある時は借、ある時は貸。
そんな感じでも問題ありません。

事業主借と事業主貸の相殺、元入金との関係

会計ソフトがやってくれるので気にする必要はありません。

数字や経理を理解するうえで、「会計ソフトがやってくれるから」という姿勢はNGなのですが…
この論点に関してはこれでいいかな、と。

ここを理解したからといって、数字への理解が深まるわけではないので。


[編集後記]

昨日は、2月決算の報告をした後、ゆったりめに仕事。

積みゲーが増えてしまっています…。
マリオカートじゃなくて積みゲー消化すればいいだけなんですが。
習慣というか惰性というか。

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この記事を書いた人 入野 拓実
独立4年目の31歳。自称「とっつきやすい系税理士」
中小企業やフリーランスの税務顧問、相続税申告のほかに、
自力申告・独立支援・法人化などのコンサルティング業務を行っています。
各種セミナー、執筆実績多数。
1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
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※当ブログの記事は、投稿日現在の法律に基づいて書いております。 改正や個別的なケースには対応していない場合もありますので、ご注意ください。



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