法人(会社)が支払う税金の種類一覧&納税スケジュール。何を、いつ払うかを知っておく




仕事やプライベートでスケジュール管理をするように、税金にもスケジュール管理があります。
会社を作ったら、「これからどんな税金を払うのか」「それはいつ払うか」を抑えておきましょう。

どんな税金を払うか?それはいつ払うか?を知っておく必要性

サラリーマン時代の税金と、独立してからの税金の違い

サラリーマン時代は、会社が勝手に税金を天引きしてくれます。
ところが、自分で事業をするようなると、自分で(間接的に税理士が関わるとしても)税金を計算し、自分で税金を払う必要があります。

サラリーマンにとっての手取り額は、毎月振り込まれた金額ですが、経営者にとっての手取り(手残り)額は、手元にあるお金から税金を払った残りの金額です。

税金ありきで資金繰りを考える

儲けたお金や手元にあるお金から税金を払っていくわけですから、全部使ってしまうと、税金が払えなくなってしまいます。

「全然お金が残らない」「こんなはずじゃなかった」「ほとんど税金でもっていかれてる気がする」と感じている方の中には、「儲け=手取り」という感覚のままでいる方が多いです。
儲けは手取りではなく、サラリーマン時代でいえば額面。そこからさらに税金を払って、はじめて手取りになります。

儲けて、その中から税金を払って、その残りで会社を回していくことで、お金が残り、増えていきます。
国が会社から勝手に税金を天引きしてくれればラクなのですが、残念ながらそういうシステムはありませんから、自分でコントロールする必要があります。
支払う税金ありきで資金繰りを考える必要があるのです。

「何を払うか」「いつ払うか」を知っておく

税金を含めた全体の儲け・資金繰りをコントロールするためには、「どんな税金を払うのか」「それはいつ払うか」を把握しておく必要があります。

例えば、儲けたら法人税を払いますし、人を雇えば社会保険料や天引きした税金、書類を作ったら印紙税、資産を持ったら固定資産税、接待でゴルフに行ったらゴルフ場利用税…何かしらの経済活動をしたら、必ず税金がついて回ります。
考えてみると、会社を作った段階で登録免許税を払っています。

会社が行う全ての経済活動には、税金が課されます。
だからこそ、「どんな税金があるか」「何をしたら払うのか」「いつ払うか」など、基本的な知識を整えておきましょう。

会社が支払う税金・社会保険料一覧

法人税(国税)

儲け(利益、所得)に対して課される税金です。

中小企業(資本金1億円以下)の税率は、儲けが800万円までは15%、800万円を超える部分は23.2%です。

法人税(地方)

国ではなく、都道府県、市区町村などの自治体に対しても法人税を支払います。

儲けに関係なく(赤字であっても)必ず課される「均等割」、儲けに対して課される「事業税」「法人割」などの2つに区分されます。
※この記事では、儲けに対して課される部分は便宜上「事業税」と表現します。

均等割

儲けに関係なく、法人の規模によって税額が変わる税金です。
例えば、資本金が1千万円までは7万円、1千万円を超えると18万円になったりします。

事業税

儲け(利益、所得)に対して課される税金です。
儲けが400万円まで、400万円~800万円まで、800万円~の3区分で税率が少しずつ変わりますが、国に払う法人税と違い、差はわずかです。


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国と地方を合わせた法人税の税率は、儲けが

~400万円:21%
400万円~800万円:23%
800万円~:33%

と抑えておきましょう。

源泉徴収した所得税・住民税

役員・従業員(社長を含め)の給料から天引きした所得税・住民税を納めます。
原則的には天引きした日の翌月10日までに納付しますが、10人未満の会社の場合は、年に2回、半年分をまとめて納付することができます。

社会保険料

健康保険・厚生年金・介護保険などをひっくるめて「社会保険料」と呼びます。

会社と従業員で半分ずつ負担します。
給料から天引きした分と、会社負担の分を、まとめて毎月末納付します。

似ているものに労働保険(雇用保険・労災保険)もありますが、負担額があまり大きくないため、今回は省略します。


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消費税

2年前の売上高が1,000万円を超えている場合、消費税を納付する必要があります。
預かった消費税から支払った消費税を差し引いた金額を納付します。

売上が10万円、仕入が5万円の場合、8,000円の消費税を預かり、4,000円の消費税を支払っています。
8,000-4,000=4,000円が、納める消費税になります。

この場合、売上はあくまで10万円であって、10万8千円ではないことを意識しましょう。
8千円はあくまで預かっているだけで、後で納める必要があります。
預かった消費税がキャッシュフローに回ってしまっている会社も多いため、気を付けましょう。

基本的には会社設立から2年間は納付する必要がありませんが、規模や売上高などによっては、1年目、2年目から納付する場合があります。

その他の税金

印紙税

領収書、契約書などを作ったら、印紙税が課されます。
電子文書には課税されないため、クラウドサインなどを活用するのも手です。

固定資産税・償却資産税

土地、建物などの固定資産を保有すると、固定資産税や償却資産税が課されます。

登録免許税

登記・許認可などには、登録免許税が課されます。
会社を設立するときも支払っていますね。

不動産取得税、自動車税、etc…

不動産を買ったら不動産取得税、自動車なら自動車税。
他にも細々とした税金はたくさんありますが、以上を抑えておけばじゅうぶんでしょう。

いつ払うか?をカレンダーで抑える。納税スケジュール

3月決算法人の場合の納税スケジュールは、こんな感じです。

1月源泉所得税(特例の場合)
2月固定資産税
3月
4月
5月法人税・地方法人税・消費税
6月住民税(特例の場合)・固定資産税
7月源泉所得税(特例の場合)
8月
9月固定資産税
10月
11月法人税・地方法人税・消費税(中間)
12月住民税(特例の場合)・固定資産税
毎月社会保険料 住民税(原則の場合)源泉所得税(原則の場合)

ほぼ毎月、何かしらの税金を納めていくわけです。

特に負担が大きいのは、5月と11月。
3月決算の場合は、5月末までに法人税や消費税の申告書を提出し、納付します。
11月には、5月に確定した法人税・消費税のだいたい半分の金額を、「中間納付」として納付します。

社会保険料は毎月ほぼ同じ金額ですから、資金繰りへのダメージは少ないです。
源泉所得税と住民税は、年に2回の特例制度を使うとラクですが、資金繰りを考えると、原則通り毎月納付してしまうも手です。

「どんな税金を払うか」「いつ払うか」を把握して、納税準備が万全な資金繰り態勢を整えていきましょう。

「どんな税金を払うのか」「それはいつ払うか」がわかってきたら、「いくらくらい払うのか」にチャレンジしてみましょう。

ざっくり計算する方法…法人税 → 利益の30%、消費税 → バランスシートの「仮受消費税ー仮払消費税」


[編集後記]

昨日は、1日中事務所内で仕事。
新ネタに手をつけはじめました。期限を決めないとグダりそうなので、少し自分を追い込んでみます。

最近、娘の寝かしつけは僕の役割なのですが、すんなり寝てくれる日もあれば、22時ごろまで粘られる日も。
おんぶしつつ歌を歌えば高確率で落ちてくれますが、腰が…。

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この記事を書いた人 入野 拓実
独立4年目の31歳。自称「とっつきやすい系税理士」
中小企業やフリーランスの税務顧問、相続税申告のほかに、
自力申告・独立支援・法人化などのコンサルティング業務を行っています。
各種セミナー、執筆実績多数。
1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
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