「摘要って、何を書けばいいんですかね」と質問を受けたので、まとめてみます。
摘要には何を書くか
帳簿は、次の5つの要素で成り立っています。
- 日付
- 金額
- 勘定科目
- 取引相手の名前
- 取引内容
このうち、摘要の役割は、④と⑤。
つまり、摘要には「取引相手の名前」と「取引内容」を書けばOKです。
(取引相手が存在しないような仕訳の場合には、取引内容だけでOKです)
①から③は、会計ソフトに仕訳を入力していけば自然に満たされる要素なので、あまり気にする必要はないでしょう。
「取引相手の名前」と「取引内容」をどのように書くか
次に、どの程度詳しく書くべきか?という問題もあります。
取引相手の名前の書き方
原則として、取引相手の名前は、正式名称、つまりフルネームや会社名を正確に書く必要があります。
しかし、多少の省略が認められる場合もあります。
取引先のリストや履歴などから、相手の正式名称や住所などを特定できる場合です。
取引相手が個人事業主なら、「入野拓実税理士事務所」ではなく、「入野」、
法人なら、「株式会社オリエンタルランド」ではなく「オリエンタルランド」、
コンビニなら、「株式会社ファミリーマート 柏1丁目店」ではなく「ファミリーマート 柏1丁目店」、
くらいの省略は認められます(最後のは「ファミリーマート」だけでもセーフかなと…「ファミマ」は微妙かもしれませんがw)。
取引内容の書き方
内容に関しては、第三者がパッと見で何を買ったかわかる程度に書けばOKです。
例えば、
- ボールペン2本
- シャーペン1本
- マジック1本
を買った場合には、「ボールペン等」とか「文房具」とかでまとめて書いちゃっていいし、
- ボールペン2本
- お茶菓子
を買った場合も、「文房具等」とか「お茶菓子等」、ってどっちかでまとめて書いちゃって問題ありません。
消費税との帳簿の関係
…と、ここまで基本的な摘要の書き方をお伝えしましたが、ぶっちゃけるとさらにざっくり書いてもいいケースが存在します。
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それは、あなたが「消費税の支払いを免除されている方」または「消費税の計算を簡易課税制度でしている方」である場合です。
…どういうことか、順を追って説明してみます。
消費税の納税の仕組み
消費税は、売上などで預かった消費税から、仕入や経費で支払った消費税の差額を国に納めます。
売上が100万円なら、8%で預かった消費税は8万円。仕入が50万円なら、支払った消費税は4万円です。
(税率は8%として計算してます)
国に納めるのは、8万円から4万円を引いた残りの4万円。
算式で言うと、
となります。
この仕入・経費にかかる消費税を差し引くことを、「仕入税額控除」と呼びます。
そして、この「仕入税額控除」をするためには、
- 仕入・経費の支払先の名前・取引内容を、帳簿に記載する
- 仕入・経費の請求書、領収書等を保存する
ことが条件になっています。
もし、「面倒で取引内容も名前も書いてないや」「取引内容しか書いてないや」という場合には、仕入税額控除はできません。
上記の例で言うと、4万円引くことができず、売上にかかる消費税8万円をそのまま納めることになってしまいます。
だからこそ、特に、仕入や経費の支払いに関する仕訳については、しっかりと摘要を書くべきです。
税務調査で指摘される可能性もある部分ですから、しっかりと「取引内容」「取引先の名前」の両方を書いておきましょう。
…僕が言うのもアレですが、めちゃくちゃ面倒臭いルールです、これ。
(先日もクライアントに伝える際、めちゃくちゃ伝え方に悩みましたし)
免税の人には関係ない
逆に言うと、消費税の支払いが免除されている方や簡易課税の方は、「仕入税額控除」のルールは関係ありません。
ですから、もう少しシンプルな書き方でも問題ないわけです。
そういった方は、あまり気にしすぎずにいきましょう。
もちろん、「何も書かない」というのはNGですが…。
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会計ソフトごとの特徴
freee
後述するマネーフォワードクラウド会計含め、クラウド会計ソフトは便利です。
なんといっても、「摘要」もある程度自動的に書いてくれますから。
次は、実際の僕が経理をしているfreeeの画面です。
クレジットカードで支払ったさくらインターネットへのサーバー代が未登録仕訳として上がってきています。
取引内容には自動的に[サクラインターネット]と入っていますから、このまま登録しても、
摘要に「サクラインターネット」と入るわけです。
2つの条件のうちの1つ、「取引相手の名前」は自動的に満たされているわけです。
どうせなら、もう1個の条件、「取引内容」も自動的に満たしてしまいましょう。
自動登録ルールを設定します。[設定]→[自動取引ルールの設定]などから設定できます。
freeeの場合、自動的に入る[取引内容]のほか、[取引先][品目][メモタグ][備考]も摘要として入力されます。
ここで、[品目]はインターネット関連費、[メモタグ]はサーバー・ドメイン代、と自動的に入力されるように設定すると、
次回からは、それらも摘要として自動的に入力されてくれます。
正式な帳簿形式で見ても、きちんと反映されています。
マネーフォワードクラウド会計
マネーフォワードクラウド会計の場合も、自動的に取引先の名前は入力されます。
[自動で仕訳]→[連携サービスから入力]→[画面右上の自動仕訳ルール]を見てみると、次のような画面です。この場合も、やはり足りないのは「取引内容」のみですから、それをルールに追加してあげれば、次回からは自動的に取引内容も入力されます。
右側のボックスにすでに店名が書かれていますから、その横に入力していきます。
例えば、「ジュンクドウショテン カシワモディテン 書籍代」「モスバーガー 打ち合せ飲食代」という感じです。
弥生会計など、インストール型の会計ソフト
インストール型の会計ソフトで、自動連携機能を使っていない場合は、「取引内容」も「取引相手の名前」も手入力していくしかありません。
アイディアとしては、家計簿アプリの活用が考えられます。
- 家計簿アプリにネットバンク・クレジットカードを同期
- アプリのcsvデータをエクスポート
- csvデータを会計ソフトにインポート
という流れです。
紙のレシートにしても、OCRスキャン精度の良いアプリであれば、お店の名前をある程度読み取ってくれますから、それをデータ化することで手入力の手間を省けます。
[編集後記]
先週金曜日は、2月決算の続きを。
土曜日は、新規顧問の問い合わせを頂いた方との初回面談。
幼稚園の入園式があったので、久しぶりにスーツを着ました。
娘は久しぶりに幼稚園に行けて楽しかったようです。
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