近年、フリーランスの方が自分で確定申告をする流れが加速しています。
「確定申告は、税理士頼みではなく、自分でやる」のが当たり前の時代になりつつある
確定申告を自分で行うフリーランスの方が、どんどん増えてきています。
もはや、会計ソフトでの入力や確定申告書の作成は、専門家しかできない特殊技能ではありません。
クラウド会計ソフトの普及やネットの情報により、確定申告のハードルがめちゃくちゃ下がったからです。
税理士にとっては、パイが減っているわけですから、喜ぶべき状況かは微妙かもしれません。
ただ個人的には、良い流れだと思っていますし、世の中的にも良いことでしょう。
世の中的には良いこと
税金は、国の基盤となるものです。
そんな重要なことが、一部の専門家しかわからないブラックボックスだった、ということ自体が異常なわけです。
(ちょっと大げさな話かもしれませんが)
本来、フリーランスはもちろん、サラリーマンを含めた国民全員が、
- 自分が払っている税金がどうやって計算されているか
- どういう制度になっているか
ということを理解できている状態が理想なはずです。
そうすれば、毎年ある税金の制度改正や、使い道について、国全体で厳しく議論がされるようになる。
結果、子供手当や軽減税率のような、しょうもない政策はなくなります。
だからこそ、自分で確定申告できる人が増えるのは、良いことだと考えています。
税理士にとっても、悪いことばかりではない
税理士にとっては、レシートがドバっと送られてくる、いわゆる「丸投げ仕事」は減るでしょう。
ですが、裏を返せば、「教える」「伝える」「支援する」といった仕事を作るチャンスでもあると考えています。
今年の2-3月頃、確定申告について、「チェックしてほしい」「わからないところだけ聞きたい」という依頼を複数頂きました。
(単発コンサルティングでお受けしました。いずれもフリーランスの方でした)
不安になったり、本やネットの画一的な情報では不十分な部分もある。
いくら情報やソフトが発達したと言っても、「プロの意見」にはニーズがあるわけです。
(書いてたら長くなりすぎたのでこの件はそのうち別で記事にします。。では本題へ)
確定申告を自分で行うメリット
自分で確定申告をすることで、次のようなメリットがあります(前置き長すぎました、すみません)。
税理士費用が浮く
当たり前ですが、税理士費用が浮きます。
税理士に確定申告を依頼すると、数十万円かかりますが、自分でやれば年間2-3万円の会計ソフト代だけです。
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例えば、30年間、毎年税理士に30万円払うとすると、トータルで900万円。
自分でやったとすると、会計ソフト代3万円を30年で90万円。
初めて自分でやる年に、本やセミナーで10万円勉強代に使ったとしても、100万円です。
生涯経費を800万円削れるのは、大きなメリットではないでしょうか。
どうしてもわからないことがあれば、税理士に相談すればいいですし。
その場合の相談料は、申告を丸投げした場合よりもずっと抑えられます。
数字を理解できる
「んなこと言ったって、自分でやったら時間かかるじゃん」と思われるかもしれません。
でも、それがいいのです。
ちょっとだけ時間を作って、日々経理を行うことで、数字とお金のセンスが磨かれます。
例えば、経費のレシート1枚を入力するだけでも、
- これ、本当に必要だったのかな
- 今月は使いすぎかな?
- 預金、減っていないかな
- お金と経費のバランスは大丈夫かな
など、様々なことを考えるようになります。
税理士に丸投げをしていると、こういうことを考えるキッカケはありません。
事業をやっていれば、皆さん毎月の売上は把握されていますが、
- 利益がどれくらいかわからない
- お金がどうして増減しているのかわからない
- お金をどれくらい使って大丈夫なのかわからない
- 仕事を増やすほど時間も利益も減っていく
- 仕事を減らしてやっていけるのか不安
- 資金繰りが不安
- 節税できているのか不安
といった方を多く見てきました。
自分で経理を行い、日々考えることで、
- 事業の成績が数字にどう表れているのか
- 問題点はどこなのか、強みはどこなのか
- より良い数字にするには、どう動くべきなのか
- お金を残すにはどうすべきか
といったことがわかるようになります。
そして、仕事だけではなく、プライベートの時間とお金、人生の方向性まで考えるきっかけになるのが経理です。
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僕自身、今年に入ってから2件仕事を減らすことができたのも、日々経理をしてお金をコントロールしているからです。
今も、新しい仕事に手を付けたり、プライベートの時間を増やすために、色々考えているところです。
経理は、何も確定申告のためにやるわけではありません。仕事・お金・人生について考えるためにやるものです。
ついでに確定申告も義務だしやっとくか、くらいの感じでちょうどいいのです。
デメリット・注意点
確定申告を自分で行うデメリットや注意点を挙げてみます。
確定申告時期にまとめてやらない
確定申告の時期になって、1年分まとめて数字を入力していては、数字とお金のセンスは身に付きません。
できれば毎週時間を決めて、最低でも2週間に1回は入力作業を行い、できあがったデータを眺めてみましょう。
数字を見る際は、[推移表]を使うのがオススメです。
月別の数字が横に並び、推移や変化がわかりやすいからです。
推移表の出し方
freeeの場合:[レポート]→[月次推移]
マネーフォワードクラウドの場合:[会計帳簿]→[推移表]
税務調査に入られやすい(かもしれない)
税理士に確定申告を依頼すると、確定申告書に税理士の署名(e-taxの場合は電子署名)が入ります。
税務署からすれば、税理士の署名がある=一定の品質は担保されている、とやはり考えるようです。
それと比較すると、確定申告を自分で行っている場合には、多少厳しく見られる可能性はあります。
実際、「小規模のフリーランスなのに調査に入られた」という話を聞いてみると、皆さん自分で確定申告している方でした。
(税理士の関与の有無の問題ではなく、申告内容に問題があるようでしたが…)
ほんのちょっとだけ、簿記の勉強をしてみる
簿記のキホンのキ、だけは勉強して損はありません。
クラウド会計ソフトは「簿記がわからなくても確定申告できる」とうたっています。
確かに確定申告はできるでしょう。でも、簿記がわからないと数字やお金のコントロールはできません。
そして、キホンのキさえわかっていれば、パッと見でおかしいとわかる申告書は作らないようになります。
そうすれば税務調査に入られることも減るでしょうね。
別に、簿記3級に合格する必要はありません。
簿記3級のテキストを一通り読んでみて、あとは本を片手に実践してみて頂ければ。
ド定番のこの本は、やはりオススメです。
ミスを恐れない、かつ、ほったらかしにしない
たくさんのメリットがあるので、自分で経理・確定申告をオススメしています。
そして、自分でやるからには、多少のミスは仕方ないと割り切るべきです。
でも、不安なことがあったり、どうしてもわからないことがあれば、放置せずにプロに相談すべきだとも思います。
知らないうちに税金を払いすぎてないか、税務調査で指摘されたら問題になるようなことはないか、なども一緒に見てもらうと良いでしょうね。
[編集後記]
昨日は、2月決算を仕上げた後、先日顧問の依頼を頂いて初回面談をした方と、2回目の打ち合わせ。
創業融資、設立前後の税務、初年度の事業計画、予算作成など、みっちりでした。
娘の昼寝がなくなりつつあります。
その分、夜は19時過ぎに寝るようになりましたが。
「思ったように利益が出ない」「手元にお金が残らない」「税金が高すぎる」
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1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
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