不動産投資の金売買消費税還付スキームとかいう租税回避行為について考える




不動産に関わる仕事をしている方にとって、消費税の取り扱いというのは頭が痛くなるところだと思います。

特に不動産投資においては、一昔前、消費税を還付するための「自動販売機スキーム」というのが流行りました。
自動販売機スキームは、法律の改正により、今は封じ込まれています。
ですが、新たな抜け道として「金売買スキーム」というものが出てきています。

今回の記事では、

  • 金の売買で消費税還付ってどんなスキーム?
  • どうやってやるの?

…ってことについては、他のサイトを見ていただくことにして、

  • 金売買スキームは租税回避行為である
  • 金売買スキームのデメリットとリスク
  • 租税回避行為は悪いことなのか

の3点について書いていきます。

金売買スキームは租税回避行為である

金売買スキームは、明確な租税回避行為だと思っています。

租税回避行為って何?違法なの?

租税回避行為とは、

  • 税金を逃れるためだけに
  • 通常考えられない不自然な取引をすること

を言います。

「グレーゾーン」とか「法の抜け道」っていうとイメージしやすいかもしれません。
法律に触れていない以上、違法ではありません。合法とも言い切れません。言葉としては「脱法」が近いでしょう。

節税・脱税との違い

租税回避は、節税・脱税と比較すると、よりイメージしやすくなります。

節税は、まっとうな手段、法律が認めている範囲内で税負担を減らすこと。
脱税は、隠したり嘘を付いたりして、税金を誤魔化すことです。
租税回避は、その両者のギリギリのラインを突きます。

「立ち読み禁止」という張り紙がしてある本屋があったとすると、

  • 隠れて立ち読みするのが脱税
  • 買うためにレジに並んでいる待ち時間で読むのが節税
  • 地べたに座り込んで読むのが租税回避

という感じです(某大学教授の受け売りですが)。

表にすると、次のようになります。

合法or違法処罰課税
節税合法されないされない
租税回避合法だが異常されないケースバイケース
脱税違法されるされる

金売買スキームは「節税」でも「脱税」でもなく「租税回避」である

金売買スキームは、


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  • 消費税の還付額を増やすためだけに
  • 本来必要ない金の売買を行う(ことで通算課税売上割合をムリヤリ増加させる)

というスキームです。
金売買取引をする合理的な理由があるならともかく、還付を狙うためだけの行為ですから、租税回避行為です。

金売買スキームのデメリットとリスク

否認リスクはあるのか

租税回避行為は、そのスキームを防ぐ法律がない限り、基本的には否認できません。特に消費税では。

金売買スキームについては、否認されるケースも出てきてるみたいですけど、ぶっちゃけ僕はそこにはあまり興味がありません。


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金取引で損したら元も子もない

消費税の還付を受けられたとしても、金取引で損したり、時間かかったり、元が取れなかったら意味がありません。
「税負担の軽減ありき」な行動には、こういったデメリットがつきものです。税金が減っても、トータルの金勘定や時間などを考えると、むしろ損していることが多いような…。

責任を取るのはあなた自身

金売買スキームに限らず、こうした租税回避スキームは、必ず後から法律の改正によって封じ込められます。

不動産投資の消費税還付にしたって、当初は「自動販売機スキーム」というものでした。
金売買スキームは、この自動販売機スキームが改正で封じ込まれたことで、新たな法の抜け道として生み出されたものです。

要は、抜け道を見つける→ふさぐ→見つける→ふさぐ、と、いたちごっこをしているわけです。

租税回避をするってことはこのいたちごっこに付き合うということ。改正で封じ込まれるリスクを負うことにもなります。
いたちごっこの過程で、税負担を減らすどころか資金繰りを悪くするだけのケースも多い
です。

節税商品だの租税回避スキームだのってのは、それを勧める側にメリットがあるだけのことも多いわけで。。
そういった方の飯のタネになる必要はありません。
何より、その人たちはリスクも背負ってくれませんし、失敗した時にお金を肩代わりしてくれるわけでもありません。あくまでも自己責任。

租税回避行為は悪いことなのか

こうした租税回避行為。「違法じゃないから」と言われると、何も言い返せません。
法律に不備があるのは確かですし、それは制度を整えて対応すべきなのも確かです。
「悪い」と言い切れるものではありません。ですが、「法律で決まっていないことはやってもいい」ということにはならないはずです。

もちろん、税負担の軽減を狙うことが悪いとは僕は思っていません。
ただ、それは事業を行う上で必要な行為だったり、人に堂々と説明できるストーリーがあれば、の話です。
還付を受けるためだけに、明らかに合理的な理由がない金の売買取引を形式的に行う、って、普通に考えて歪んでませんか??
そういう行為が通っていいものなんでしょうか…。

消費税ができたのは、平成元年。
比較的新しい税金だからか、元が穴だらけだったのか、こうしたスキームが色々と出てきては→取り締まる、の繰り返しだったと聞いています。
その結果、消費税法はこの30年間で、ツギハギだらけのわけのわからない税法になってしまいました。

僕は今までに2回、このスキームの依頼を頂いたことがあります。
聞くところによると、報酬の相場は還付金額の20%ほど。
1億の物件なら、800万円の消費税が還付され、その20%の160万円が報酬としていただけるわけです。

独立したてというのもあって、お金は欲しかった(今も欲しい)のですが、断りました。
目先の利益を追って、モヤモヤした気持ちでお金を受け取るなんて、つまらないですしね。
1億ならこの手の仕事もやるかもしれませんけど笑

そもそもこの手のスキームって、良い悪い以前に、間接的に日本全体が不幸になる選択だと思っています。
それは、僕にとっての話だけではなく、税金を払うお客様にとっても、です。
「法律で決まってないならやってもいいのかな」「社会的意義からするとどうなのかな」と、少し考えてみていただければ。


[編集後記]

昨日は、税務署で税務調査の最終調整。
…だったのですが、特に何も指摘されずに終了。結構長引いていたので、やっと肩の荷が下りました。

最近、仕事中に娘から電話がかかってきます。
「ぶどうぜりー、かってきて~」「ぷられーる、かってきて~」と要求だけして、切られます。。

この記事を書いた人 入野 拓実
独立3年目の30歳。自称「とっつきやすい系税理士」
『得意分野⇒フリーランスの法人化/中小企業の経営分析/自力申告サポート/独立起業支援』
ブログは平日毎日更新。遠方・スポットにも対応。セミナー自主開催。
1989.3.6生まれ。妻・娘(3歳)と3人暮らし。
エンジョイゲーマー・音楽オタク。基本カジュアル。
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※当ブログの記事は、投稿日現在の法律に基づいて書いております。 改正や個別的なケースには対応していない場合もありますので、ご注意ください。






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ABOUTこの記事をかいた人

音楽オタクで一児のパパな30歳の税理士。 遠方の方やスポットのご相談にも対応しています。 得意分野 → 法人成り・財務分析・残るお金を最大化するためのアドバイス。 ブログは平日毎日更新、フリーランスや社長向けの財務・経理や、自分のワークスタイルについて書いています。