法人の決算・税務申告を自分でやる場合のメリット・注意点・ハードルとその解決策




法人の決算と申告(法人税・消費税)を、税理士に依頼せずに自分でやる場合のメリットなどについてまとめてみました。

法人の決算・確定申告。自分でできる?

フリーランス(個人事業主)が所得税の確定申告を自分でやるのは、もはや当たり前の時代になりました。
反対に、法人の申告については、まだまだ税理士に依頼するのが主流です。

法人の決算と申告を、税理士に依頼せずに自分で出来るかどうか。

結論から言えば、できますし、やっている人は一定数存在します。

単発コンサルティングで「自分でやってるんだけどわからないところがあるから聞きたい」といった相談をいただくことがありますし、
僕のクライアントにも、設立してから3年間は自分で申告をしていた会社さんがいらっしゃいます。

「自分でやりたい」という方は、ぜひチャレンジしてみていただければ。

法人決算・確定申告を自分で行うメリット

決算・申告を自分でやると、次のようなメリットがあります。

税理士費用の削減

当然ですが、自分でやれば税理士に報酬を払う必要はありません。

顧問ではなく年に1度決算だけのお付き合い、かつ小規模な会社だとしても、最低20万円はかかるのではないでしょうか。

10年間だと、200万円。これだけのお金が浮くのは大きいはずです。

自社の数字や税金についての理解が深まる

もう一つは、自社の数字や税金についての理解が深まるということ。

「税理士に丸投げ」「お金や税金のことは税理士に任せているから」という姿勢だと、自社の体質理解や賢い資金繰りはできません。

自分で経理・決算・申告をすることは、自社のお金の流れを理解し、税金の痛みをコントロールすることに繋がります。

(税理士に依頼するにしても、丸投げというのはよろしくありません。毎月数字についてのフィードバックをもらうべきです)

注意点・ハードルとその解決策

フリーランス時代に自分で申告をしていた方が難しいと言っていた点、
僕が自分でやっている方の状況を見て躓いていると感じた点をまとめ、解決策を考えてみました。


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ソフトが少ない

一番大きいのは、手軽に使えるソフトが少ないという点。

フリーランスでfreeeやマネーフォワードクラウドを使っている場合、
帳簿データさえ完成させれば、あとはほぼ自動的に所得税の確定申告書を出力することができます。

他にも、国税庁の「確定申告書作成コーナー」が使いやすかったり、専門家以外の方にとってのハードルは低くなっています。

 

ですが、法人になると、そうはいかず…。
まず、freeeやマネーフォワードクラウドなどの会計ソフトでは、申告書を作成できません。

会計ソフトで作った帳簿データを、申告書作成ソフトにエクスポートしたり、
あるいは帳簿データを見ながら手書きで申告書を書いたり、といった作業が必要になります。

 

そして、法人税の申告書作成ソフトは、専門家向けのものが多く、それなりの値段がします。
かつ、専門家以外の方に向けられたものがあまり知られていないのが現状です。

専門家以外の方に向けられたもので選択肢に入るのは、「全力法人税」「税理士いらず」かなと。
現状、この2つのソフトから選ぶのがいいと考えています。

外部リンク:全力法人税

外部リンク:税理士いらず


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書類が多すぎる・必要な様式がわかりにくい

次に聞くのは、「書類が多すぎてどの様式が必要なのかわからない」というもの。

ざっくりとまとめてみました。

最低限必要な様式

法人税申告書

  • 別表1(1)
  • 別表1(1)次葉
  • 別表4
  • 別表5(1)
  • 別表5(2)
  • 第6号様式(地方税)
  • 第20号様式(地方税 ※東京23区の場合は不要)

法人税申告書の添付書類

  • 決算書(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・注記表。会計ソフトの決算書作成機能で出力します)
  • 勘定科目内訳明細書
  • 法人事業概況説明書

場合によっては必要

  • 別表7…赤字の場合に必要
  • 第6号様式9…赤字の場合に必要
  • 別表15…交際費がある場合に必要
  • 別表16各種…固定資産がある場合に必要
  • 適用額明細書…税金の優遇制度(小規模な会社で考えられるのは、中小企業の軽減税率や30万円未満の一括経費など)を使う場合に必要
  • 消費税申告書…消費税の課税事業者の場合に必要

バランスシート(貸借対照表)がぐちゃぐちゃ

多くの方は、利益(損益計算書)を合わせることだけに気を取られて、財産(貸借対照表)がぐちゃぐちゃになっています。

実は逆で、「貸借対照表が合っていれば損益計算書も合っている」という考えのほうがミスは生じにくいです。

以下のような点から、貸借対照表をチェックしてみてください。

  • マイナスの勘定科目がないか
  • 売掛金・買掛金に、既に決済が終わったものが混ざっていないか
  • 未払金・未払費用・在庫・前払費用・前払金に、覚えがないものがないか
  • 仮受金・仮払金の残高が残っていないか
  • 預金の残高は合っているか

消費税について

「決算や法人税はなんとかできるようになったけど、消費税わけわからん」という方も多いようで。
そりゃそうだろうな、とも思います。
簿記的な考え方とは全く違いますので。

消費税は、その計算の仕組みがわかりにくいだけでなく、
「期限までに届け出を出したかどうか」で税額が大きく変わってしまうなど、ちょっとしたことで大きく損をしてしまうことがあります。

申告を自分でやるかどうかとは別に、消費税関係のことは一度税理士に相談すべきだと考えています。

税理士に頼む基準

ここまで書いておいてなんですが、「本業に支障をきたしたら意味がないよなあ」とも思います。

次のような方は、素直に税理士に依頼することを検討してみて頂ければ。
全て依頼するのではなく、部分的に依頼、単発で相談する、という方法でも良いでしょうし。

 

  • 時間がかかりすぎる
  • 税務調査で間違いをたくさん指摘され、追加で多額の税金が発生した
  • 取引先や金融機関に書類の不備を指摘された
  • 消費税について不安
  • 売上が5,000万円以上

 

こういう状況でもなお自分でやるというのは、リスキーかなぁ、と。


[編集後記]

先週金曜日は、3月決算を中心に。

土曜日は、午前中は飯田橋でとあるセミナーを受講。午後からは娘と公園へ。
日曜日は、突発的にディズニーランドへ。娘が突然「行きたい」と言い出したので。楽しかったですが、疲れました。

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この記事を書いた人 入野 拓実
独立4年目の31歳。自称「とっつきやすい系税理士」
中小企業やフリーランスの税務顧問、相続税申告のほかに、
自力申告・独立支援・法人化などのコンサルティング業務を行っています。
各種セミナー、執筆実績多数。
1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
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