償却前利益(簡易キャッシュフロー)が返済額を下回ったら、即倒産危機!というわけではありません。
償却前利益(簡易キャッシュフロー)とは
償却前利益(簡易キャッシュフロー)とは、会社の借金の返済能力を表す指標の一つ。
計算式は、
で計算されます。
損益計算書を見て、利益に減価償却費を足すだけです。
割とざっくり(簡易キャッシュフロー、っていうくらいですし)とした計算ですが、損益計算書を見れば2秒で計算できる使い勝手の良さから、僕も多様しています。
利益はお金を増やす要因そのもの。
そして減価償却費は費用なので利益を減らしているけど、お金はどこにも払っていない。
だから利益に減価償却費を足し戻せば、だいたいお金がどれくらい増えるかわかる。
その増えた分のお金を返済能力として考えましょう、ってことです。
呼び方はどっちでもいいのですが、「償却前利益」という呼び方の方が、計算式とリンクしてわかりやすいかなー、と最近思って、こちらを使っています。
基本は償却前利益>返済額
償却前利益=返済能力と考えると、償却前利益>返済額であれば、無理なく借入金を返済できる、ということになります。
逆に、返済額>償却前利益であれば、会社の返済能力を超えている、と考えることもできます。
返済能力を超えて借金をするとどうなるかは、言わずもがなでしょう。
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借入金の本質は、利益を前倒ししてお金を手に入れることです。
100万円の借入は、100万円利益を出さないと返すことはできません。
お金を借りるときは、「これだけの利益を出すんだ」という意識を持つことが大切です。
(利益を原資として借入金を返すことを、「収益弁済」と言います)
だからこそ、償却前利益と借入金返済額のバランスは常にチェックしておくべきでしょう。
償却前利益と収益弁済については、以下の記事を参考にしていただければ。
参考記事:借金は利益から返す。「収益弁済」を意識して無理のない資金繰りをしよう
償却前利益が返済額を下回っていても大丈夫なケース
ただし、返済額>償却前利益になったら、例外なく危険!というわけではありません。
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大丈夫なケースもあります。
例えば、多額の安全資金・余裕資金を借りて、使わずに手元に置いているような場合。
さきほど「100万円の借入は、100万円利益を出さないと返すことはできません。」と書きましたが、
それは、借りた100万円を使ってしまっているからです。
100万円を使ってしまい既に手元にないから、返すには100万円利益を出すしかないわけです。
一方、使わずにそのまま100万円を手元に置いておいた場合はどうでしょうか。
手元に100万円があるわけですから、利益が0でも全額返済できます(利息は別ですが)。
安心料や保険という意味合いである程度の安全資金・余裕資金を借りて寝かせておくのは、経営判断としてはアリでしょう。
ただ、借入金の総額が増えれば、どうしても年間の返済額も増えてしまいます。
そうすると、返済額が償却前利益を超えてしまう、ということが起こりやすい。
でも、借りたお金を使っていないのであれば、無理なく返済できるので問題ありません。
借りたお金を使わず寝かせている場合や、現預金の残高が潤沢にあって実質無借金の場合などは、悲観的になりすぎる必要はありません。
複数の銀行からプロパー融資を引き出せている会社に、この現象が起きやすい気がしています。
(もちろん、償却前利益>返済額、という状態を目指すのは正しい方向性です)
まとめ
償却前利益は便利な指標ですし、常にチェックしていくべきものですが、それだけを見ていればいいわけではありません。
返済は、将来の利益だけでなく、現在の手元現預金からすることもできるからです。
借入金と安全性のバランスを考えていく上では、償却前利益だけではなく、
- 自己資本比率
- 現預金対借入金比率
- 流動比率
- 債務償還年数
など、他のいくつかの指標と合わせて考えることや、日々の資金繰り表をキッチリつけてキャッシュフローを管理していくことが大切です。
[編集後記]
昨日は、事務所にこもりっきり。こまごましたことを片付けました。
久しぶりにマリオカートの大会に誘っていただけたので、頑張ってきます。
土曜日です。
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1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
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