中小企業が自社ビルを持つべきではない理由|自社ビルを持つリスクとデメリット




「自社ビルを持つと会社が傾きやすい、って聞いたんですけど、本当ですか?」とクライアントから質問を受けたので、ネタにしてみます。

賃貸と自社ビルの決定的な違い

まず、賃貸と自社ビルの違いについて考えてみましょう。

賃貸の場合、毎月家賃を払っていきます。

自社ビルの場合、銀行から建設費用を借りて、自社ビルを建てます。
家賃はゼロになりますが、代わりに、毎月銀行に借入金を返済していくことになります。

自社ビルのリスク・デメリット

「どっちにしろ毎月お金を払うんだから、どっちでも同じじゃん」
「それなら資産として残る、自社ビルのほうが良い」

と思われるかもしれません。
確かにそういう一面もありますが、その一方で、大きなデメリットもあります。

それは、資産(借入金)が多いと、売上が減った時に一気に苦しくなる」という点です。

資産(借入金)が多いと、売上が減った時に一気に苦しくなる

基本的に、資産(と、その固定資産に紐付く借入金)を増やすのは、会社の売上が増えている時です。

複数の銀行が「ぜひウチから借りてください」なんて言ってくるし、利益も出てるし、気が大きくなります。

さらに売上を伸ばすために、在庫を増やそう・設備投資をしよう。そして、自社ビルを建てよう。

業績が右肩上がりの時期は、とにかく「資産を増やすこと」に頭がいきがちです。
ですが、ずっと右肩上がりということはあり得ません。

  • ブームが終わる
  • 規制がかかる
  • 悪天候
  • ライバル会社の出現

などでも、すぐに売上は減少に転じます。

 

売上が減少するとどうなるか。
借入金の返済が苦しくなる=資金繰りが一気に悪化するのです。

自前の設備でなければ、借りるのをやめればいいだけです。
自社ビルではなく賃貸物件であれば、家賃が安いところに引っ越せばいいだけです。

その時の身の丈に応じた経営に切り替えることができるわけです。


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ですが、銀行からお金を借りて、自前で用意してしまっている場合はそうはいきません。
必ず毎月の返済は、固定で発生します。

売上が伸びていた時に仕入れた在庫が捌けなくなった、せっかく設備投資したのに遊ばせてしまっている…
典型的な失敗です。

自社ビルに関して言えば、売ろうと思っても、


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  • 売却損が出る
  • せっかく買ったのに
  • 担保が
  • 思い入れ

などなど、色んな問題で売れないケースがほとんどですし。

何故自社ビルを建てると苦しくなるのか?

例によって、自社ビルも「イケイケ」「売上増」の時に、銀行からお金を借りて建てるわけです。
ですから、当然売上が下がれば、返済が苦しくなります。

右肩上がりの時にこそ、リスク管理をする必要があります。
「赤字の原因は、黒字の時に作られる」ということです。

 

そして自社ビルは、「売上を生まない設備」です。
在庫や設備投資とは、そこが異なります。

在庫や設備のように、売上に貢献するものだったら、「借入をして購入」というリスクを取る価値はあるかもしれません。

しかし、売上を生まない自社ビルに対して、リスクを取る必要はないでしょう。

 

大企業のように、自社ビルそのものをブランディングできたらいいんでしょうけど…
中小企業には難しいですし。

中小企業の強みは、「小回り」

大企業にない中小企業の強みは、「小回りが利くこと」
固定資産や人が最低限で済むからこそ、すぐに方向転換できることだと思うのです。

自前の資産を持たないということは、「小回りが利く」「身の丈にあった経営に切り替えられる」ということでもあるわけです。

自社ビルは、そのメリットを捨ててしまうことでもあると考えています。

自前で用意しない、不要な資産は持たない、という意識。
業績が伸びている時にこそ、大切になります。

関連記事:

赤字転落の原因は黒字の時に作られる。業績悪化・不景気に耐え切る会社の体力作り。


[編集後記]

先週金曜日は、3月決算の仕上げを。無事終わりました。
かつ、妻が体調不良になったため、午後からは娘とひたすら2人で遊んでいました。

土日は仕事は軽めにして、ご飯を食べに行ったり、まったりと。

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この記事を書いた人 入野 拓実
独立4年目の31歳。自称「とっつきやすい系税理士」
中小企業やフリーランスの税務顧問、相続税申告のほかに、
自力申告・独立支援・法人化などのコンサルティング業務を行っています。
各種セミナー、執筆実績多数。
1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
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