税理士には、お客様の耳が痛くなるようなことを言わなければならない時もある




税理士のちょっと損な役回りについて。

耳が痛くなることを言うのも仕事のうち

税理士には、時にブレーキを踏んだり、時に強めに背中を押したり。

お客様にとってちょっと耳が痛くなるようなことを言わなければならない、損な役回りをするときがある。

 

やっぱり職業上それは仕方ないことだし、それが正しいことであれば絶対に言わなければいけない。

 

例えば普段「細かいことで口うるさいなぁ」と思われていても、税務調査がダメージなく終わればそれでいいわけだし、

「内部留保内部留保ってそればっか」と思われていても、将来会社の成績が落ちたときにその内部留保で持ちこたえてもらえたらそれでいい。

 

でも、いくら正しいことを言っていても、それだけでは聞き入れてもらえるとは限らない。

言わなければいけない「耳が痛くなる話」3つ

お客様の耳が痛くなるけど言わなければいけない話には、次のようなケースがある。

税金との付き合い方

やはり、税金との付き合い方が真っ先に思いつく。

税金に悩まされる気持ちは理解しているつもりだが、社長に対して「税金と資金繰りの関係」を納得してもらうのは、ある程度時間がかかるように思う。

 

例えば脱税をして調査で指摘されれば、罰金(延滞税)など、本来払わなくて済んだものまで余計に払わなければならない。

「でも税金は払いたくない」といって節税をしすぎれば、会社の資金繰りが苦しくなってしまう。

 

会社や個人事業主にとって税金、特に法人税や所得税のような「儲け」に対して課される税金は、

「払わなきゃいけない」という義務以上に、「事業の維持費」っていう側面があることを意識したほうが良いと思っている。

税金を多く払うということは、それだけ儲かっている=お金が増えている、ということでもあり、


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裏を返せば、税金を払っていない=儲かっていない会社は、当然やっていけなくなるという現実がある。

借入との付き合い方と無駄遣いのブレーキ役

融資と事業は切っても切れないものだから、融資に対するアドバイスをすることも多い。

どちらかというと、「借入に消極的な社長」に対するアプローチが難しい。

借りた後に気が大きくなってしまったり、儲かった分無駄遣いが増える方も多いから、そこのブレーキ役もしなければならない。

 

事業成績や景気には必ず浮き沈みがあるから、

  • 借りられるときにある程度借りておき、
  • 稼いだお金は消費ではなくできる限り内部留保しておく

というのがセオリーだ。

無借金や、常にあるだけ使ってしまうような経営だと、いざという時に立ちいかなくなる。

 

でも、「できれば無借金でいきたい」という方も多いし、儲けたら使いたくなってしまうのが人間だとも思う。


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粉飾

これはあからさまなNG行為だけど、粉飾をどうたしなめるか、というのも似ているかもしれない。

 

僕は、粉飾はドラッグのようなものだと思っていて、

  1. 一回だけだから…
  2. 前も上手くいったし、大丈夫でしょ
  3. 今回で最後にするから…

というように、1回やれば深みにハマっていく。

 

1度ウソをついたら、そのウソを隠すためにさらに大きなウソをつかなければならなくなる。

借りられなきゃ会社は回らなくなるから、最終的には「わかっちゃいるけどやめられない」。

でも大きくなったウソはいつかバレるものだし、その時が会社の最期だ。

 

1度だけのつもりだった粉飾が、会社はもちろん社長自身の身を滅ぼす。

安易な粉飾に手を染めず、赤字体質や資金繰りなどを抜本的に見直すためのサポートだったら、僕は喜んでするのだけど。

カギは「信頼関係構築」と「説得力」

粉飾、税金との付き合い方、融資、無駄遣い。このあたりの説明は日常的に行うけど、本当に難しいと今でも思う。

特に、お客様にとって耳が痛くなるようなことを言わなければいけないときは尚更だ。

(幸いにも、粉飾や脱税っぽいことを持ちかけてくる方とは関わらずに済んでいるけど)

 

こういったお客様の耳が痛くなるような話をすんなり受け入れてもらうには、

「信頼関係を構築すること」と、「論理的に説明し、説得力を磨くこと」の2点が大切だと思っている。

理屈だけでもダメだし、仲良いだけでもダメだと思う。税理士は特に、理屈だけに偏りがちだ。

 

当たり前のことだけど、人間は同じことを言われるにしても、

ムカつく人に言われるより、信頼している好きな相手のことならば聞き入れやすいし、

結論だけ言われるより、論理的に説明してもらったほうが聞き入れやすい。

 

例えば「税金を払いたくない」という感情と、「払わないとお金は増えない」という現実をどう説明し、両者の折り合いをどこでつけるか、

税金は現実的に払うしかないものだけど、「払うものは払ってもらわないと…」というスタンスでは不十分だろう。

クライアントが納得して気持ちよく税金を払えるようなアプローチをすべきだ。

 

税理士事務所の愚痴のひとつに「ウチの言うことは聞かないのに、コンサル会社が同じこと言ったらすんなり聞き入れた」というものがある。

こんな愚痴を言う前に、自分とクライアントとの関係性を見直したり、伝え方に問題はなかったかを振り返るべきだと思う。

それらがじゅうぶんなら、きっとクライアントは税理士の言う「ちょっと耳が痛い話」もしっかり聞いてくれるはず。

根っこがまともな方であれば、という最低限の条件付きではあるけれど。


[編集後記]

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この記事を書いた人 入野 拓実
独立4年目の31歳。自称「とっつきやすい系税理士」
中小企業やフリーランスの税務顧問、相続税申告のほかに、
自力申告・独立支援・法人化などのコンサルティング業務を行っています。
各種セミナー、執筆実績多数。
1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
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