休眠会社を復活(買収)させるメリット・デメリット。新しく法人設立する場合との比較。




先日、「新しく事業を再開する際に、休眠会社を復活させるか、新しく法人設立するか」という相談を初めて受けました。
結論は個々の状況により変わってくるので、一般論を書いてみます。

休眠会社を再利用するメリット

自分の会社を復活させる場合は、そこそこのメリットがあります。

繰越欠損金(累積赤字)が活用できる

休眠の原因は、業績不振であることが多いはずです。
つまり、会社に累積赤字が残っているということ。
この累積赤字は、最大10年間繰り越して、黒字と相殺することができます。

例えば、休眠中の会社が、過去10年間で1,000万円の赤字を出していた場合。
事業を再開しても、利益1,000万円までは税金がかかりません。

休眠後も毎年、税務申告していることが条件ですが。。

役員借入金が活用できる

自分の休眠会社を自分で復活させる場合には、役員借入金を活用できます。

赤字続きの会社は、資金繰りが厳しく、社長が自分のお金を会社に入れていることが多いものです。
そのお金は、会社から見ると借りたお金、社長から見れば貸したお金です。
一般的に、バランスシートの負債の部に「役員借入金」や「短期借入金」という科目で載っています。

貸したお金は、返してもらう必要があります。
お金の貸し借りに税金はかかりませんから、役員借入金の残高分、無税で会社から個人にお金を移すことができます。
(会社側から見れば、お金を払ったのに経費にならず、税金がかかるとも言えますが…)

過去に損したお金を取り戻せるというイメージです。
新しい事業で儲けて、会社のお金に余裕が出てきたころに検討してもいいでしょう。

初期費用が抑えられる

会社設立にかかる最低金額は、資本金を除けば、合同会社なら6万円、株式会社なら20万円ほどです。
休眠会社を再利用する場合、定款変更費用(3万円)だけで済むケースもあります。

設立する手間も省けます。

信用などを引き継げる

社歴、ドメイン、許認可など、信用を引き継ぐことができる場合もあるでしょう。


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休眠会社を再利用するデメリット

メリット以上に、デメリットのほうが多いです。
特に、他人の会社を買い取る場合は注意しましょう。

青色が取り消されている

休眠中の会社は、税務申告を行っていない場合が多いと思います。
その場合、青色申告は取り消されています。

一定期間が過ぎれば、再度青色申告をすることができますが、事業再開して最初の年度は白色になるケースが多いと考えられます。
白色だと、欠損金を繰り越せない、税額控除を受けられないなど、税務上のデメリットが多いです。


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決算書の見栄えが悪い

業績不振由来の累積赤字が多いということは、デメリットにもなります。

そういった会社は、バランスシートが債務超過になっていることがほとんどでしょう。
決算書の見栄えが悪いと、融資や営業などの面で不利になることも出てきます。

「お金借りる」「拡大していきたい」という場合はデメリットが大きいでしょうね。
細々とやる場合はアリかもしれませんが。

過去にやらかしていたらヤバい

業績不振の背景には「やらかし」がある場合もあります。

わかりやすいのは、金融機関相手に不誠実な行為をしたり、取引先の掛を踏み倒していたり
最近だと、SNSで炎上したりってことも考えられます。

自分の会社を復活させるならともかく、人の会社を買い取る場合は、このあたりに気を付けたほうが良いでしょう。

結論・まとめ

「自分の会社を復活させる」場合は、メリット・デメリットを比較したうえで、選択肢になり得ます。
対外的な信用や、他人とのお金の貸し借りの問題がないからです。

一方、「他人の会社を買収する」というのはリスクが高いように思います。
決算書を見ただけで「ヤバい」とわかるケースならまだいいですが、過去のやらかしは隠されたらわかりません。

メリット・デメリットを把握した上で専門家に相談し、慎重に判断していただければ。


[編集後記]

昨日は、事務所で資料作成したり、クライアントのカルテをじっくり確認したり。

天候やら娘の風邪やらで引きこもりな週末が続いていたので、今月は家族でたくさん遊びに行こうと考えています。
案は…今のところ、上野動物園、地元に新しくできたパンケーキ屋さん、くらいしか出てませんが。。

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この記事を書いた人 入野 拓実
独立4年目の31歳。自称「とっつきやすい系税理士」
中小企業やフリーランスの税務顧問、相続税申告のほかに、
自力申告・独立支援・法人化などのコンサルティング業務を行っています。
各種セミナー、執筆実績多数。
1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
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