【完全版】法人成りに必要な手続き・書類・届出をまとめたやることリスト




法人成り・会社設立には、結構面倒くさい手続きがたくさんあり、時間もそれなりにかかります。
そこで、最低限やらなければいけないことをリストアップしてみました。

前提①:法人設立する

当然ですが、一番最初にやるのは「会社を作ること」です。

定款作成がどうとか、公証人役場で定款認証がどうとか、登記がどうとか、色々難しそうですが…。
司法書士さんに依頼すればそのあたりはお任せできますし、最近は会社設立freeeなどの無料サービスで割と簡単に設立することもできます。

設立までの流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。

自分で行うにしても、依頼するにしても、

  • 会社名を決める
  • 株式会社か、合同会社か
  • 会社の事業目的
  • 資本金をいくらにするか
  • 決算期をいつにするか
  • 印鑑を作っておく
  • 代表者の印鑑証明を取る

といったことを事前に決めておくとスムーズです。

設立したら、会社の登記事項証明書と印鑑証明を、最低でも5通ずつ取っておくと良いでしょう。
銀行口座開設や社会保険の手続きなどで、原本を求められるケースも多いからです。

前提②:期限を気にせず「設立後、すぐやる」

これらの手続きの届出期限は、設立後10日以内だったり、3カ月以内だったり、まちまちです。
期限を守れなかった場合のデメリットもまちまちです。罰則が特にないものもあれば、痛手を負うものもあります(青色申告が受けられないとか)。

最低限、設立届の提出期限である1カ月以内にまとめて終わらせましょう。
(社会保険関係の手続きは5日以内とのことですが、普通に無理ですし、遅れても特に何も言われません)

「これはいつまで」「あれはいつまで」とかいちいち分けるのは面倒です。
自分に必要なものをピックアップし、設立が終わったらすぐ、丸1~2日ほどまとまった時間を確保して、全て終わらせてしまいましょう。

設立した勢いがあるうちに済ませてしまったほうが、ちょっとずつ進めたり後回しにするより、ラクです。

STEP①:銀行口座を作る

会社を作って一番初めにやっていただきたいことは、実際の事業活動でも各種届出でもなく、銀行口座の開設です。

銀行口座の開設には、審査などで2週間前後の時間がかかります。
審査があるということは、当然落ちることもあります。

ゆうちょ銀行や地銀、信金は審査が緩めなのですが、メガバンクやネット専業銀行は結構審査が厳しめです。
「事業を開始したのに口座がない」「入金・決済・自動振替の手続きができない」ということにならないように、まずは銀行口座の開設を行いましょう。


-----スポンサードリンク-----

ゆうちょ銀行1つ、ネット専業銀行1つ、地銀1つ、というように、種類の違う銀行に複数申し込むのがオススメです。

同時に、会社名義のクレジットカードを作っておくことをオススメします。
最近は、freeeカードなど、実績がなくても審査が通りやすいカードもあります。

STEP②:税務上の手続きを行う

税務署に提出するもの

一般的な法人の場合、以下の書類を、管轄の税務署に提出する必要があります。

1度にまとめて提出してしまいましょう。

管轄税務署は、国税庁HPのこのページから調べることができます

法人設立届

会社が設立されたことを税務署に通知するための届出です。
定款と登記事項証明書(謄本)の控えを添付する必要があります。

青色申告承認申請

青色申告をするための申請書です。税務上の優遇措置を受けるために、必ず提出しましょう。

給与支払事務所の開設届

役員(自分を含め)や従業員に給与を払う場合には、提出する必要があります。

源泉所得税の納期の特例の承認申請

自分を含めた役員・従業員の合計が10名未満の場合は、源泉所得税の納期の特例の申請という書類も出しておきましょう。
給料から引いた源泉税は、原則毎月納付しますが、この書類を出しておけば、半年に1度まとめて納付できるので、ラクです。

その他の書類

以下の書類は、特別な事情がなければ提出する必要はありません。

  • 減価償却資産の償却方法の届出書
  • 棚卸資産の評価方法の届出書
  • 有価証券の帳簿価格の算出方法の届出書

ただし、気を付けたいのが、消費税関係の届出書です。
設立1期目で設備投資などで多額の支出をした場合、消費税が還付される場合がありますが、これには届出が必要です。
他にも、会社設立時の資本金が1,000万円以上の場合などは届出が必要です。

このあたりで判断に迷う方は、税理士に相談することをオススメします。
書類1枚出すか出さないかで、数百万損したり得したりする可能性がありますから。

提出方法

税務署に行って提出しても、郵送で提出してもOKです。もちろんe-tax(ネット)で提出することもできます。

ちなみに、これらの書類は、控えを会社に保管しておく必要があります。
税務署に行って提出する場合は、あらかじめスキャンをしておきましょう。
郵送の場合は、提出用のほかに、控え用と返信用封筒(切手も貼って)を同封しておけば、返送してもらえます。

※下記する都道府県税事務所・市役所でもこれは同じです

ちなみに、書き方がわからないって場合は…税務署の窓口でそう伝えれば、優しく教えてもらえるはずです。笑

都道府県税事務所・市役所に提出するもの

税務署だけでなく、自治体にも法人設立届を提出します。

自治体によってフォーマットが異なるため、

  • 千葉県 法人 設立届
  • 柏市 法人 設立届

などでググって、書類の様式をゲットしましょう。だいたい、自治体のHPでダウンロードできます。
内容は税務署に提出する設立届とほぼ同一なので、一緒に書けばラクです。

送り先は例によって管轄の事務所・役所ですが、担当課がわからない場合は、「法人設立届在中」などと書いておくといいでしょうね。

こちらも定款・謄本のコピーと一緒に提出します。

東京23区の方は、都税事務所だけです。

STEP③:社会保険関係の手続きを行う

個人事業主の頃は、雇っている従業員が少なければ、社会保険の加入義務はありませんでした。
しかし、会社を設立すると、規模を問わず強制加入です(自分ひとりであっても)。

年金事務所に提出するもの

を、管轄の年金事務所に提出します。
電子申請(ネット)もできますが、操作性が酷すぎます。紙が苦手な僕ですら、紙で出すほうがマシだと感じました。

新規適用届

添付書類は、登記事項証明書の原本と、税務署から送られてくる法人番号通知書のコピーです。
法人番号通知書は、法人番号公表サイトから見ることもできます。


-----スポンサードリンク-----

法人番号公表サイトから、自社名で検索すれば法人番号や所在地が表示されます。
ページ右側の「履歴等」をクリックして表示された「株式会社●●の情報~」というページをプリントアウトして持っていきましょう。

こちらも、書類は年金事務所に揃っていますし、書き方も教えてもらえます。
添付書類のほかに、会社の実印、本人と扶養者の印鑑&基礎年金番号or個人番号を持っていくと良いでしょう。

会社の銀行印を持っていけば、社会保険料の自動振替の手続きも同時に済ませられます。

以前勤めていた会社の社会保険を任意継続している場合には、新しい保険証が届いたら、任意継続被保険者資格喪失届という書類を提出します。
(古い保険証の原本、新しい保険証のコピーも一緒に提出します)

労基署に提出するもの

従業員を雇っている場合には、労働保険に加入する必要があります。

  • 保険関係成立届
  • 概算保険料申告書

という書類を提出するのですが、ネットからは正規の様式をDLできないため、労基署に行ったほうがはやいです。
登記事項証明書と実印を持って、労基署で書類を入手し、指示に従って記入しましょう。

ハローワークに提出するもの

従業員を雇っている場合には、労働保険に加入する必要があります。

  • 適用事業所設置届
  • 被保険者資格取得届

これも労基署と同じく、現地に行ってスタッフに声をかけたほうがはやいでしょう…。
登記事項証明書、実印、被保険者が持っている雇用保険被保険者証(なければ被保険者の履歴書)、労基署に提出した保険関係成立届の控えが必要です。

STEP④:資産&負債の引継ぎ・名義変更

個人事業主として持っていた資産や負債を法人に引継ぎ、契約は名義変更をする必要があります。

資産・負債の引継ぎ

棚卸資産・固定資産・売掛金、買掛金などは、個人から法人に引き継ぐことになります。

引継ぎ方法としては、売買か、貸し借りか。
いずれにしても、契約書などで記録を残しておくといいでしょう。

基本的には個人・法人間で売買を行い、お金の受け渡しを行うのがシンプルでいいでしょうね。(代金はあとから精算するという方法もあるんでしょうが)
不動産など、モノによっては、個人から法人に貸すという形を取ることも可能です。

売買金額については、ケースバイケースですし、モノによって変わりますが…基本的には帳簿価額で引き継ぐケースが多いです。
商品などについては通常の販売価額の7割以上で売買するといいでしょう。

名義変更の手続き

名義変更すべきものは、例えば次のようなものです。

  • 事務所・店舗・駐車場
  • リース、保険、電話、電気、水道、ガス、ネットなど
  • 借入金

STEP⑤:廃業、確定申告

廃業届

今後は法人として事業を行っていくので、個人事業主としては廃業することになります。
そこで、廃業を知らせる届出を行います。

ここからDLできます。

確定申告

1月1日から廃業するまでの期間については個人事業主ですから、確定申告を行う必要があります。
個人事業主として最後の確定申告です。

例年通り、3/15までに確定申告書を提出し、納税しましょう。

提出書類・提出先・期限のまとめ

ここまでで解説した手続きを、必須のもの・状況に応じて必要なものに分けてまとめてみました。

必須の手続き

提出先書類名期限添付書類
税務署設立届2カ月以内定款・登記事項証明書
青色申告承認申請書3カ月以内
給与支払事務所の開設届1カ月以内
廃業届1カ月以内
確定申告書翌年3/15まで
都道府県税事務所・市役所設立届1カ月以内定款・登記事項証明書
年金事務所新規適用届5日以内登記事項証明書(原本)・法人番号通知書
被保険者資格取得届5日以内

状況に応じて必要なもの

消費税の課税事業者をあえて選択する場合→課税事業者選択届出書

源泉所得税を半年に1度まとめて納付したい場合→源泉所得税の納期の特例の承認申請書

社会保険の扶養家族がいる場合→被扶養者異動届

従業員を雇っている場合→労基署:保険関係成立届、概算保険料申告書  ハローワーク:適用事業所設置届、被保険者資格取得届


[編集後記]

金曜日&昨日は、1日事務所で仕事。

9/18は妻の誕生日だったので、ささやかながらお祝いをしました。

3連休は、家族で外出。
地元の大きめな公園に行ったり、

 

パフェを食べに行ったり。

娘が公園の屋内キッズスペースでおともだちと遊んでいるのを見て、「幼稚園でもこんな感じなのかな」としみじみ。
帰るときに、そのおともだちが娘にハグをしていたのが微笑ましかったです。

無料book「手元にお金を残す方法」&無料LINEマガジン
頑張って仕事をしているのに、売上は上がっているのに、
「思ったように利益が出ない」「手元にお金が残らない」「税金が高すぎる」

こういったお悩みを抱えている方に、
僕のノウハウを「ギュッ」と濃縮した「無料マガジン」をプレゼントします。
実際にお客様に提供し、僕自身も実践している内容を無料で公開!

また、平日毎日配信のLINE講座を読んでいただければ、事業で必要なお金の知識が自然と身につきます。
是非あなたのお仕事にお役立てください。

ダウンロード&購読はこちら
サービスメニュー
遠方の場合でも、ビデオ通話+PC画面共有などで対応しております。 【サービスメニュー】 【その他】
この記事を書いた人 入野 拓実
独立4年目の31歳。自称「とっつきやすい系税理士」
中小企業やフリーランスの税務顧問、相続税申告のほかに、
自力申告・独立支援・法人化などのコンサルティング業務を行っています。
各種セミナー、執筆実績多数。
1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
twitter instagram

※当ブログの記事は、投稿日現在の法律に基づいて書いております。 改正や個別的なケースには対応していない場合もありますので、ご注意ください。



記事をシェアしてください!