ある程度の面数がある美容室の場合、面貸しをしていることも多いですよね。
ただこの面貸し、税金的には一癖あるものなんです。美容室経営者の方に理解しておいて頂きたいポイントを書いていきます。
外注費or給与?税金の取り扱い
面貸しの方への報酬は「外注費」でしょうか?「給与」でしょうか?
この2つはどちらも経費であることは間違いないので、利益に対して税金が課される法人税や申告所得税には影響がありません。
しかし、消費税と源泉所得税には影響があります。
- 外注費…消費税の仕入税額控除の対象になる。源泉徴収必要なし。
- 給与 …消費税の税額控除にならない上、源泉徴収をしなければならない。
ちょっと小難しく感じるかもしれませんので、ざっくりと言うと…
外注の場合、支払った金額に消費税が含まれています。この払った消費税は、売上などで預かっている消費税から引くことができます。一言でいうと、その分納める消費税が減ります。
給与の場合はどうでしょう?従業員さんに支払う給与に消費税なんて当然含まれていませんよね。そして源泉徴収をして毎月(or半年に1度)納めていると思います。
つまり、外注費なら消費税が減る。これが給与となってしまうと、消費税を減らせない上に所得税を源泉徴収しなければいけないわけです。
外注も給与も同じ経費ですが、税金の面では取り扱いがかなり異なります。
言葉通り「面貸し」をしているだけならば、ほぼ間違いなく外注費で問題ありません。
しかし、長いお付き合いの場合など、関係がなぁなぁになってしまったり、実質的に従業員と同じ扱いに途中から変わっていたりするケースだと危険です。
税務調査で指摘された場合、消費税と源泉所得税を追加で納めなければならないほか、延滞税、加算税もかかってきます。
1年分だけだったらまだしも、3年分となるとかなりの痛手になりそうです。
税務調査での争点
上記の理由から、税務調査においても「給与」なのか「外注費」なのかという点はよく問題になります。
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この2つの違いを一言でいうと、請負契約なら外注、雇用契約なら給与。ってことになるわけですが、その具体的な基準を国税庁は通達として公表してくれています。
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~(略)その区分が明らかでないときは、例えば、次の事項を総合勘案して判定するものとする。
(1)その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
(2) 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
(3) まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
(4) 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。
参考リンク:消費税法基本通達1-1-1 (個人事業者と給与所得者の区分)
んーわかりにくいですね。美容室に当てはめてみましょう。
- その人が従業員を使っていい形態ですか?その人が拘束されているなら実質的に従業員=給与じゃない?と言っています。そもそも面貸しっていう形態にはあまり関係ない基準なのでスルー。
- 面貸しさんが自分の責任で仕事をしているかどうかです。ミスやクレームなどの対応を自分で行う、美容室の方針やオーナーの命令などの影響を受けない、時間の拘束などもなければ外注費でOKです。
- 報酬の条件が仕事の引き渡し=外注、時間=給与という考え方です。面貸しの場合はお客様から料金を頂いた上で取り分を分けることが多いはずですので、当然にクリアです。
- ハサミやドライヤー、カラー剤パーマ剤などをお店が持つのか面貸しさんが持つのかです。面貸しさん持ちなら外注となります。道具はともかくカラー剤などはお店が持っている場合も多そうです。
面貸しを給与認定されないために気を付けておくべきこと
請求書を出してもらう
毎月面貸しさんに請求書を出してもらいましょう。(消費税の仕入税額控除の要件でもあるので必ず)
日別にいくら売り上げたか、作業内容、請求額などを書いてもらいましょう。
業務委託契約についての契約書があるとより良いでしょう。
お店と面貸しさんとの関係性
自分の責任で仕事を行い、時間やお店の方針などの影響を受けないことが大前提です。
繁忙期は手伝いに来て貰っていた、仕事が無いっていうから従業員として働いてもらっていた、などの場合は当然に給与になります。
実質が面を貸しているだけの業務委託であること。これが一番大切です。
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