経理は出来るだけ楽に。現金出納帳を使わない簡単現金管理。




現金出納帳(現金勘定)を使わないで簡単かつ楽に経理する方法です。

経理担当者や、会計事務所職員の頭を悩ませる現金出納帳。
勿論フリーランスや一人社長などで、ご自分で申告されてる方にとっても面倒なものだと思います。

「金種と合わない」
「残高がマイナスになった」
「個人と会社のお金がごちゃまぜでワケがわからない」
「サイフを分けられない」

…あるあるじゃないですか?(あるあるじゃいけないんですけどね)

じゃあもう現金出納帳(現金勘定)を使うのやめちゃいましょう、っていうお話です。

この記事のもくじ

経費の処理

現金で支払うのをやめましょう、という話ではないんです。
実際日々の仕事の上で、現金でお金を支払わなければいけないケースはたくさんあります。

経費の支払いは「短期借入金」で処理

でも現金出納帳は使いたくない。
そこで便利なのが、現金勘定の代わりに「短期借入金」という勘定科目を使うこと。
(個人事業主の場合は、「事業主借」でOK。この記事は、あとは「法人カードを作る」「売上の処理」のみ読んでください。)

処理の意味と仕訳例

こうすることで、「この経費支払いは、社長が立て替えた。会社の現金は動いていない」という経理処理になります。
要は、会社のお金は使わず、社長がいったん自分の財布から出しておきましたよ、ってことです。

会社から見ると社長から借りている、社長から見ると貸している。
なので会社のB/S(貸借対照表)に「借入金」として計上されます。

同様の処理で、社長個人のクレジットーカードや預金口座から引き落とされた経費についても対応できます。
仕訳例: 電車代1000円を社長が立て替えた。
旅費交通費/短期借入金 1000円

短期借入金の精算

上で説明した通り、会社は社長にお金を借りているわけです。
お金を借りたら、当然返さなくてはいけません。

そこで、定期的(毎月末など)に、立て替えた経費の精算をします。

具体的には、短期借入金の残高を、会社の口座から社長個人の口座に振り込めばOK。
これで会社と社長の間での貸し借りはなくなったことになります。
給与と一緒に振り込んでしまうのもありでしょう。

決まった金額を定期的に振り込むという方法もアリですが、会社が借りている金額以上に振り込んでしまうと、「会社が社長に貸している」となってしまうので注意しましょう(下で詳しく書きます)

また、B/Sの見栄えをよくするために、決算時にはこの「短期借入金」は0にしておいたほうが良いでしょう。


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仕訳例:上記で社長が立て替えた経費分の金額を社長に振り込んだ。
短期借入金/普通預金 1000円

経費を立て替え払いする人が2人以上いる場合など

それなりの規模の会社の場合、上記の方法で、複数の人が経費を立て替えることになります。

なのに「短期借入金」という勘定科目1本で仕訳を切ると、誰がいくら立て替えていて、いくら精算すればいいのかわからなくなってしまいます。

そういう時には、「補助科目」を使いましょう。
勘定科目のサブフォルダだと思ってもらえるとわかりやすいかも。

短期借入金、という勘定科目の中に、「社長」「専務」「Aさん」「Bさん」などのサブフォルダを作り、それぞれで管理することができます。
(作成方法などは使用しているソフトのマニュアルなどを参照してください)

ちなみにですが、短期借入金という勘定科目を、1年以内返済の銀行借入金などで既に使っている場合は、「社長借入金」「経費借入金」などの名目で、別の勘定科目を作ったほうがベターです。

法人カードを作る

法人カード(個人事業主の場合は、生活用とは別に、仕事専用のクレジットカードを作りましょう)を作れば、会社の口座から引き落とされるため、現金の管理は一切必要ありません。

クレジットカードと預金の明細を見て経理処理を行えばOKですし、クラウド会計ソフトなら、ネットバンクとクレジットカードの明細を取り込めます。

そして、「短期借入金」として処理する必要もないため、より楽です。
カードで払えるものは、カードで払いましょう。


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この処理の落とし穴

実はこの経理方法にも、問題点がいくつか存在します。
個人的な支出(経費にならないモノ)を買ってしまった場合です。

経費にならないモノを買ってしまっても、その領収書は入力せず、当然お金の精算もしないならOKです。

入力も精算もしてしまった場合

本来経費にならないモノが経費になっているため、税務調査があれば当然否認されるでしょう。

その否認された経費部分だけ利益が増えるので、当然その分法人税が課税されます。
消費税の課税仕入れとしていたなら、そこも認められません。
役員賞与とされた場合には、源泉徴収もされます。(返すよって言って認められれば利息の認定部分だけで済むかもしれません)
延滞税、加算税も来ます。悪質な場合は重加算税。もう踏んだり蹴ったりです。

そうならないために、経理さんや会計事務所では、その領収書は抜いているハズです。
そうすると、次のケースになります。

入力はしてないけど精算してしまった場合

社長さん「なんで精算がこれだけなの??コレもコレも買ってるんだけど」
経理さん「それは社長の個人的なモノですから…会社の経費にはなりません。。。」
社長さん「知ったこっちゃねーよ、ちゃんと振り込んどけよ!」

あるある…とは言いたくないですが、実際あります。

ここまで言われると経理さんは精算はするしかありません。クビになるわけにはいかないし。
それにカードだと勝手に引き落とされちゃいますから、精算しないこと自体無理。
でも経費には入っていません。

この処理の意味は、「会社が社長からお金を借りている」でした。
会社がお金を借りていない部分、つまり経費になっていない部分まで精算してしまうとどうなるでしょう??
逆パターンで、「会社が社長にお金を貸している」ことになっちゃいます。

これはこれで面倒です。会社は社長から利息を取らなきゃいけません。
今は年利1.8%程度ですが、4.1%とかの時代もありました。額が額だと貸付金がドンドン膨れ上がります。

この、いわゆる役員貸付金って、金融機関の印象最悪ですし、膨れ上がるし、いいこと一個もないです。
そして会計事務所は社長が何を言おうと絶対に個人的な経費は計上しないし、逆に利息は計上してます。

まぁ、まわりまわって損するだけだから最初からやめようってことです。

売上の処理

預金に振り込もう

売上金額の回収は、振込のみにしてもらうのが一番です。

しかし、飲食店や美容師など、店舗型のいわゆる現金商売をされてる方にとっては現実的ではありません。

けどやっぱり現金出納帳は使いたくない!!!

ならば。

現金売上を毎日、預金に振り込んでしまえばいいのです。
3日に1回まとめて~ってのはやめたほうがいいです。
もしそうする場合でも、1日分の売上ごとに分けて振り込みましょう。

現金商売の方の場合、毎日レジの中にお釣りとして固定額を入れてると思います。
その金額が期首から期末までずっと現金出納帳の残高になる感じですね。

現金商売の場合の注意点

売上代金(レジの中のお金)から経費を払うのをやめましょう。
代引きなんかも多いですが、事業主の方が不在なら、従業員さんに立て替えてもらうしかないでしょう。

これをやってしまうと、上記の「社長借入金」の前提も崩れてしまいますし、預金に入金した金額=売上代金でもなくなってしまいます。

あと、この方法をとる場合、お客様に渡す領収書の控えと、預金入金額だけでは「売上金額が本当に正しいかどうか」の信用性に欠けます。

なので、レジの導入は必須です。日付ごとの売上データが記録されて出てくるやつです。
その他に、日報などで「レジのデータ」と「預金入金額」を紐づける資料を用意しておきます。
具体的には、美容院ならお客様ごとのカルテの管理、受付表の管理などを徹底し、領収書控えを取っておけばOKでしょう。

ここまで管理しきれれば、預金に入金された額=売上金額は、客観的に正しい数字と言えます。

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この記事を書いた人 入野 拓実
独立4年目の31歳。自称「とっつきやすい系税理士」
中小企業やフリーランスの税務顧問、相続税申告のほかに、
自力申告・独立支援・法人化などのコンサルティング業務を行っています。
各種セミナー、執筆実績多数。
1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
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※当ブログの記事は、投稿日現在の法律に基づいて書いております。 改正や個別的なケースには対応していない場合もありますので、ご注意ください。



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