法人化(成り)を国民年金・厚生年金の違いとメリット・デメリットから考える




法人化すると、国保・国民年金から、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入することになります。

法人化を国民年金と厚生年金の観点から考えてみましょう。

個人事業主(フリーランス)は国民年金、法人化すると厚生年金

フリーランスは、国民年金。法人化すると、厚生年金に加入することになります。

フリーランスなのに厚生年金に加入することはできませんし、法人化したのに国民年金のまま、というのもできません。

従業員を雇っている場合は、従業員も厚生年金(と健康保険)に加入させる必要があります。

 

だからこそ、法人化する前に、両者の違いや、それぞれのメリット・デメリットを抑えておく必要があります。

国民年金と厚生年金の違い

厚生年金=国民年金+α

国民年金と厚生年金は、それぞれ全くの別物、というわけではありません。

国民年金を基礎として、その上に厚生年金が上乗せされているイメージです。

よく、「1階建ての建物か、2階建ての建物か」という表現が使われます。

国民年金の場合は、1階建て。厚生年金の場合は、1階の国民年金の上の2階に厚生年金の2階建て、という意味です。

保険料の違い

保険料でいうと、国民年金は月16,410円(2019年)で一定。所得がいくらでも変わりません。

 

ですが、厚生年金は給料の金額によって保険料が変動します。給料20万円なら36,600円。50万円なら、91,500円です。

この金額を、自分自身と会社で折半して負担します。

 

この「会社が半分負担してくれる」というのが曲者です。

オーナー社長にとっては、会社も個人も最終的には自分のお金ですから、会社負担分も実質的には自分で支払っているわけです。


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したがってフリーランスの法人化の場合は、個人負担と会社負担の合計額で考える必要があります。

将来受け取れる年金額の違い

厚生年金の保険料が高い理由は、国民年金に上乗せして厚生年金の保険料を払っているからです。

したがって、生涯受け取れる年金額も国民年金に比べて多くなります。

国民年金部分に加えて、多く払っていた厚生年金部分の年金も受け取ることができます。

厚生年金のメリット

将来貰える年金が多くなる

国民年金だけだと、老後に貰える金額は1年間80万円くらいです。

厚生年金に加入していれば、国民年金部分に加えて年金を受け取れます。

いくら貰えるかは、加入していた期間・その期間の給料の額によって変わります。

保証も手厚くなっている

障害を抱えた場合の年金や、死亡した場合の遺族に対する年金についても、国民年金より手厚い保証が受けられます。

配偶者が保険料を払わなくて済む、第3号被保険者制度

国民年金の場合、収入がいくらかにかかわらず20歳以上の人は全員国民年金を払う必要があります。


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しかし厚生年金の場合、扶養の範囲内の配偶者は保険料を支払わなくて済みます。

ここでいう「扶養」は、年収が130万円未満、かつ、扶養者の年収の半分未満です。

 

この場合の保険料を支払わなくて済む配偶者を「第3号被保険者」と言います。

そして「第3号被保険者」となっていた期間は、保険料の負担はありませんが、「国民年金保険料を全額支払っている」という扱いになります。

つまり、年金を払っていない期間についても、将来年金を受け取ることができるわけです。

 

よくわからない制度な気もしますが、利用できるものはしたほうが良いでしょう。

厚生年金のデメリット

金額が高くなる

厚生年金は、国民年金に上乗せして保険料を払うため、割高です。

給料に応じて保険料が変動するため、給料を安くしておけば保険料も抑えられます。

 

ただし、多く払えば将来貰える年金額も増える、ということを考えると、安くしすぎるのも考え物です。

健康保険は多く払ったからと言って病院で受けられるサービスが良くなるわけではない、つまりリターンがありませんが、

厚生年金の場合、将来受け取れる年金額というリターンがあるわけです。

給料の金額設定には、この部分も考慮すべきでしょうね。

 

年金制度崩壊へのリスクヘッジとして、あまり厚生年金に期待しない・払いすぎない、という考え方もあります。

僕は割とこのスタンスです。

現在29歳で、年金を受給できるまであと36年。その間に、受給年齢の引き上げや計算方法の変更などはたぶん起こってしまうでしょう。

自分のスタンスや年齢などから、トータルで考えてみていただければ。

従業員の分も半分負担する

従業員を雇っている場合、会社が従業員分の厚生年金の約半分を負担する必要が出てきます。

ちなみに負担額は、給料20万円の従業員で月18,300円です。

だいたい給料の8%くらいが会社の負担額になります。

人数が多いと負担も重くなるので、注意が必要です。

参考記事:会社設立&法人成りするフリーランスが知るべき社会保険料&年金の話

参考記事:法人成りの有利不利シミュレーションは社会保険も考慮しよう

参考記事:法人化(成り)を国保と健康保険の違い、それぞれのメリット・デメリットから考える


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この記事を書いた人 入野 拓実
独立4年目の31歳。自称「とっつきやすい系税理士」
中小企業やフリーランスの税務顧問、相続税申告のほかに、
自力申告・独立支援・法人化などのコンサルティング業務を行っています。
各種セミナー、執筆実績多数。
1989.3.6生まれ。妻・娘と3人暮らし。
スーツよりセットアップ派。
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